#映画好き
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[理系による「映画」考察] 陽のあたる場所(1951) ➡ストーリー自体は悪だが、演出に宗教的な要素を絡ませているので、結果、感情がうまく処理できず、なんとも後味が悪い…
なんとも後味が悪い映画で、これほど後味の悪い映画はデヴィッド・フィンチャーの"セブン"以来でした。 が、"セブン"もそうでしたが、後味が悪い分、印象に強く残ってしまい、一生忘れることができなくなりそうな映画です。 ざっくりした流れは、下記となります。 1. 社内恋愛は禁止であることを事前に認識しているはずなのに、平然とそのルールを破り、妊娠させる。 2. 出世と、身分の高い・より美しい女性との結婚のため、妊娠した女性が邪魔になる。 3. その女性を殺そうとするも、事故か他
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[理系による「映画」考察] 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語(2013) ➡女の情念系映画、ここに極まる!!!
この映画は凄いです!!! "女"というものを描いた作品としては、"黒蘭の女"は優に超え、"風と共に去りぬ"級の世界的な名作として歴史に名を刻んでもよい!と思うのですが、悔しいかな、アニメ教養がある人以外ではいまいち理解されないでしょう…。かつ、男性には異常に評価されると思いますが、女性にはそれほど評価されない気がしています(この点で"風と共に去りぬ"は超えない)。 具体的に何が凄いかというと、男なしで女の情念を描き切った!、ところなのですが順序立てて説明します。 魔法少
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[理系による「映画」考察] オール・ザ・キングスメン(1949) ➡リスクを取って政治を批判するという行為を始めて映画化したことが評価されたのかな...
権力に固執することによる悲劇的な最後、を演出した映画になります。 ただ、ストーリーの演出に無理がある気が…。具体的は、"勝ち方さ"、というセリフと共にダークサイドに落ちる瞬間で、それが急すぎて、展開が早すぎない?、とツッコミを入れました。 権力に固執することによる悲劇的な最後、をエンタメ化しているので、ダークサイドに落ちるくだりは端折っても映画的には楽しめるのですが、なぜサニーサイドだった人間がダークサイドに落ちたかの背景説明をもう少しすると、映画としても深みがでて良かっ
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[理系による「映画」考察] 女相続人(1949) ➡最後で帳消しにしたとしても、女性にとってあんな屈辱的なストーリの映画をよく撮れたな...、と感心する映画
財産目的に結婚を言い寄ってきた男に対する復讐劇、なストーリーに見えますが、そんな単純なものではなく、実は"女性"という存在に対して、深く鋭くえぐっている映画です。 主人公の女性はそれなりに美人なので、分かりにくいのですが、 実際の設定は、 ・特段、異性から好まれる容姿ではない ・容姿をカバーできるほど頭が良いわけでも、社交的でもない ・華やかさもなく、とても地味で、強いて特徴があるといえば、刺繍ができるぐらい といったところです。 よってその時代の"女性像"からすると、な
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[理系による「映画」考察] ハムレット(1948) ➡映像化が非常に困難なシェイクスピアの戯曲を見事に映像に落とし込んだ映画
シェイクスピアの戯曲を映像化するのは至難の業です。理由は、あらゆる時代・国に適応できる人間の本質が描かれており、映像化するには演技・脚本・美術とも緻密なところまでモーレツに作り上げないと、そのメッセージを伝えることができず、また、エンタメとしても成功しないからです。 例えばシェイクスピアの"リア王"を映像化した黒澤明の"乱"を観れば分かりやすいのですが、役者の選定やその演技、また美術まで、ものすごいお金をかけて作りこんでます。 では、シェイクスピアは舞台ではよくやってるが
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[理系による「映画」考察] 紳士協定(1948) ➡人種差別という難しいテーマをエンタメとして成立させつつ、大衆にカウンターを入れた映画
差別する側への嫌悪だけでなく、それを気付いているが、無関心を装う・大勢側に沿う・表面的には差別を嫌うことを発言するも本質的にはそうではない、大衆に向けたカウンターがメッセージの映画です。 人が敢えて見たくない・聞きたくないテーマを、料金を取るエンタメ映画として成立させるには、かなり難しいモノであり、自身だったらどうするかな?、と自問自答ですが、何もよいアイディアが思い浮かびませんでした。 そもそも、日本人が人種差別的なことをする・される機会が少ないため(基本的には単一民族
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[理系による「映画」考察] 我等の生涯の最良の年(1946) ➡"戦争からの帰任"とはどういうことなのかが非常によくわかる映画
1946年の映画なので、終戦直後の映画です。やっと戦争が終わった!、な時期だったと思われるので、題名からもそれなりに明るい映画かな?、と思いましたが、実際には結構社会派の要素を入れており、でも最後はハッピーエンドで、その辺のバランスがとてもうまく、とても良い映画でした。 具体的には帰還兵3人の物語なのですが、 自宅に帰ること自体が、"戦場に行く気分"、とセリフにあるように、戦闘員として戦争、という状態に慣れてしまうと、日常の生活、はあまりにも違う状態で、なかなかそれに馴染め