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[映画]記事を年代順にまとめたもの
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2023年2月の記事一覧

[理系による「映画」考察] プレデター(1987) ➡技巧派による狩りの2重構造

少しリラックスした気分で映画が見たくなって。 子供の時に見たときはただただ衝撃でしたが、今見ても、とても勉強になる、かつ子供心に戻れる、とてもよい映画でした。 敢えて自身から説明する必要もないですが、 狩る側から狩られる側になった人間、 のアクション映画ですが、構成が下記のようにしっかりしていることが名作たる所以だと思われます。 初見、ゲリラ映画に見せかける。 ↓ 上位の武器と身体能力を持った人間による狩り。 ↓ さらに上位の武器と身体能力を持ったプレデターによる狩り(

[理系による「映画」考察] ゴーン・ガール(2014) ➡支配の甘美

#以下、ネタバレを含みますので、まだ見られておられない方は、閲覧注意でお願いします。 支配の甘美、を描いた作品。 母親から娘への支配。 ↓ 夫から妻への支配。 ↓ 妻から夫への逆襲としての支配。 と、まあ支配の連鎖で、2014年公開。 同じ意図が組まれた作品が日本では、 血の轍(2017年スタート)→チェーンソーマン(2019年スタート) となっているところを見ると、感性の高すぎるクリエイターは別として、当時の日本では今ほど理解されず少し早すぎたかな、と思ってしまう。

[理系による「映画」考察] 何が彼女をそうさせたのか(1930)

ざっくり、今から100年前の映画。 語弊を恐れずに言うと、シェイクスピアっぽい、 "あーあ、なんでこうちゃうんだろう…" というストーリーであり、100年前に日本人がこんな表現をできていることに驚愕する。 主演の女優さんの顔も特徴的で、化粧や撮り方次第で、美人にもそうでないようにもいかようにもできそうで、これまた語弊を恐れずに言うと、"表現の媒体としてとても優れた人材であるという"観点から、モンパルナスのキキと何か共通点を感じた。 画像は、映画の中で印象的な一場面の構図

[理系による「映画」考察] 西部戦線異状なし(1930)

1930年の戦争映画。約100年前の映画だが、戦争映画としてすでに完成されていることに驚愕する。 前線に行かない者が、戦争を語り、無知な若者を扇動し… そして、第一次世界大戦を描いた映画だが、にもかかわらず、9年後の1939年には第二次世界大戦を行っている事実に虚しさも… 映画としての完成度があまりに高すぎて語る言葉は少なし。

[理系による「映画」考察] 七日間の休暇(1930)

とってもよい映画で、お勧めです。 あくまで学生時代の個人的体験ですが、 "私の子供は??大学 --> ??に就職" の自慢しあいを聞いてうんざりしたしたことを、この映画を見て思い出したのですが、 自身が親になり、 子供に期待する親(エゴ) ↓ 親の期待に応えたい子供 ↓ 破滅 とドラマにあるような、あるある構成でもないことに気付いたこの頃です。 実際のところは、 子供の将来が心配で心配でしょうがない親 ↓ 子供が自立できるよう・苦労しないよう、日々悩み苦しみながら

[理系による「映画」考察] 犯罪王リコ(1930)

この映画を一言で適切に表現する日本語は、傾いているね~、ですかなぁ。 特に主人公のしぐさやしゃべり方。顔も歌舞伎役者みたいで、映画自体が歌舞伎自体と通じるところも。 一方、相棒はチョー男前でデビットボーイみたい。 このアンバランスさを使い、2人の思いの対比をわかりやすくする意図であろう。 別視点からは、着こなしの勉強になりました。 スーツ・コート・タキシードは、どの役者さんも下記のようにセクシー着こなしておられました。 タイトなスーツ・タキシードをキッチリ着る。 少

[理系による「映画」考察] 黄金時代(1929) ➡?????が意図の映画

?????、 が意図の映画です。 もう少し具体的に、シュールレアリズムを映画にしてみた、ですが、マグリットやダリの絵、マン・レイの写真を見るように、あまり深く意味を考えず、クスっと笑える箇所を単に見つければよいです。 牛!、とか、(おそらくピンクフロイドの"原子心母"はこれが元ネタ) 指たべちゃった…でも戻ってる…、とか、 ひげを取ったら普通の人…、とか。 よって、現代の映画のようにストーリーがある前提で見ると失敗します。 意味があるように細工されているが実は無意味で

[理系による「映画」考察] カリガリ博士(1921) ➡ドイツの前衛芸術(表現主義)を舞台美術に使ったアングラ演劇の映画化

#以下、ネタバレを含みますので、まだ見られておられない方は、閲覧注意でお願いします。 なんじゃ!、このドイツの前衛芸術(表現主義)を舞台美術に使ったアングラ演劇っぽい映画は! が第一印象でした。 精神異常に精神異常を重ねるオチは、今となってはあるあるな型ですが、これがドイツの前衛的な舞台美術とまあよく合う。で、最後はデ・キリコで、おなか一杯状態。 1920年代の芸術ムーブメントは、 ベルリン:表現主義 パリ:シュールレアリズム と、2つの源流は同じように感じられるのです

[理系による「映画」考察] 散り行く花(1919) ➡100年以上前の超名作

もはや100年以上前の映画だが、すごい!、素晴らしい~ 初めと終わりは同じ画面の繰り返しの中で、 始めのフリからの終わりの回収が見事(仏教に接したことがある人じゃないとわからなくないか!?) 殴り合いの"動"、と、美少女鑑賞の"静"、の対比(しかもどちらも男性が好きなもの…) 夜のシーンは"ピカソの青の時代"を思わせ、美術的教養をアピール。 平和を説く ➡ 殺人・自殺、への逆説的帰結。 最後直前の"鈴"による、初めの鐘のフリの回収と最後の鐘の強調。 しかも、東洋