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出産③


実物を初めてみる分娩台に
おいこらしょっとよじのぼり
さぁいよいよ分娩です。

陣痛がきたらいきんでねって言う助産師さん…

オラ、いきみかた、わかんねぇだが…(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

考えた末
とりあえず💩出してみる気持ちで
力を入れてみることにしたオラ。

いざ実践。

痛みが
くるぞ…くるぞ…きたきたきたッ!

フンッ!

ここで予想外なことが。

フンッとしたとき息を止めるのですが
それが初めて体験する苦しさなのです。

例えるならば
3キロ走ってゴールした直後息止めるくらい。
(やったことないけど)

だから長く続かない。

それを何度も繰り返す。
私の体力だけが減ってゆく…
そう。なんせ昼から何も食べてないから。

でもひたすらいきむのを繰り返します。
心臓がバクバク苦しいばかりで
私は下の痛みがほぼゼロでした。

いつのまにか会陰切開もされており
全く気づかないうちに破水も終わっていたのかな?

途中先生がちょっと押すねーなんて言いながら
突如おなかをグッッと押しました。
それまで黙っていた私、そこで初めて叫びました。


「吐くーーーーーーー!!」

いや吐きませんけどね。
強いて言うなら
内臓が口から出そうになった感じ。
苦しさの中にさらに苦しみがプラスされて
どうにかなりそうでした。

しばらくしても進展がなく
私の体力低下なのか出血なのか
赤ちゃんの危機なのか分かりませんが
きっとなにか理由があって
下からお手伝いするねーと言われ
吸引分娩が行わることになりました。

叫んでしまうと、叫ばないッ
のけぞってしまうと、のけぞらないッッ
目を瞑ってしまうと、目は開けてッッッ

厳しい指示にひたすら従う努力をして
長くいきむ努力をして
力を振り絞ってうーーーーっといきむ。

すると先生が
よし、いいよ、力を抜いて浅い呼吸を繰り返そう。と言うので、ハッハッハッと浅い呼吸。

そして、21:43

目の前に赤ちゃんがジャーンと登場しました。

先生「おめでとうございま〜す」

私の頭の中は真っ白で
(え、産まれたんだ…)
(あの子、私の赤ちゃんなんだ…)
(ああ、やっと、終わった…)

感情がぐちゃぐちゃのまま
とにかく終わったことが嬉しくて
ホッとしていたのも束の間。

会陰切開のところを縫う作業が始まりました。

これがもうほんっとに地獄の時間。
麻酔されてるはずなのに痛いったらありゃしない。
いつ終わりますか?まだですか?痛いです。
って陣痛中にはひとことも弱音を吐かなかったのにここにきて喋りまくる私。

そんな地獄を耐えながら
考えていたのは私の母のこと。

母は私の弟を車の中で産んだのです。

陣痛がきて病院に行くも一度帰されてしまい
でも家に着くとお股から弟の頭が
ひょっこり出ていたので急いでまた病院へ向かい
病院の駐車場に着いたとき弟は生まれたそうです。

受けとったのは父。
それはそれは満天の星の下、弟は誕生したそうな。

かけつけた大遅刻の先生が父に
「出生時刻は分かりますかっ?」と聞き
「わっ、わかるわけないでしょう!!」と父。

ズタボロのお股で
まだ臍の緒も切れていない状態で
母は歩かされて病院へ入ったらしいです。

なんと鬼畜な。殺生な。

今の私にそんなことができるかと聞かれたら
できるわけないと叫ぶところでしょう。

そんな壮絶で奇跡の出産をした母に比べたら
寝ながら縫われてる私のお股はまだ平和なのです。

そんなことを考えながらようやく縫合を終えて
カンガルーケアを希望していた私の胸に
産まれたばかりの赤ちゃんがやってきました。

温かくて重たくて、ゆっくり呼吸をしています。

初めての気持ちになりました。
たぶんこれが愛おしいって
気持ちなんだと思いました。

とつきとおか。

私のお腹の中ですくすく育ち
ようやく会えた我が子です。

まだ実感が湧かずふわふわした気持ちで
温もりを感じていると
すごくホッとした気持ちになりました。

この日私は母になったのです。

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