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家庭菜園とコーヒー豆

実家の両親は、家庭菜園にハマっている。

ハマっているというか、すでに日常になっている。確かに、子供の頃も庭に畑はあって、ネギとかニラとかシソとか、いろんなものを育てていた。

わたしたちが一人暮らしを始めて家から出ていくと、庭の中の畑の面積が年々拡大。今では巨峰やシャインマスカットを毎年楽しそうに育てている。

「今年は葡萄にカバーをして、虫除け対策をしているんだよ」
実家に帰ると、今、力を入れて育てている野菜や果物の話を聞かせてくれる。

なんでそんなに手間暇かけて、育てるんだか。当時の私は、そんな風に思っていた。

現在、夫がコーヒー豆の焙煎にハマっている。

不恰好なフライパンのような形の陶器に豆を入れ、シャカシャカ、シャカシャ揺りながら、豆を焙煎していく。

細かいことは、わからないけれど、火加減とか振り方とか、それで焙煎の状態が変わるんだそう。

一度ハマると、深くまで探求する性格で、先日なんか、私はコーヒー豆のシャカシャカで目が覚めた。

今日のお昼に入れてくれたコーヒーは、30分も弱火で焙煎したという、夫の努力の結晶だ。
酸味があって、軽めの口当たり。口の中がさっぱりする。

ああ、こうやって、焙煎してくれたものを飲むのって、心が豊だなぁ。そんな話を夫にした。

・・・そうか、実家の両親もきっと、自分達で作ったものを食べられることに、幸せや豊さを感じているのかもしれない。

そう思うと、私も少し、家庭菜園を始めたくなってきた。

#創作大賞2023
#エッセイ部門

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