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【ボイスドラマ】男1女2掛け合い10分弱【フリー台本】

幼馴染×遠距離

母「あんた聞いた?」
ハ「は?なにを?」
母「つかさちゃん、高校卒業したら東京行って美容師目指すらしいわよ。」
ハ「え??」
母「やっぱり聞いてないかー。」
ハ「そう、なんだ...」
母「寂しくなるわよねー。生まれた時から一緒だったのに。たまに帰ってくるとは言え、送別会しなきゃねぇ。」
ハ「そうだね...」

俺の名前はハヤト。田舎に暮らす高校3年生。
隣に住むつかさとは幼馴染。
生まれた日が近く、病院も同じで、親同士年が近かったこともあって両親が仲良くなり、そのまま家族のように育ってきた。高校最後の年になり、進路選択を迫られたが、特にやりたいこともない俺は、適当に家から通える大学に通って、学生生活を謳歌しようと思っていた。勝手につかさも俺と同じようにその辺の大学に行って、それから将来のことを考えるんだと思ってた。それが知らないうちにハッキリ明確な目標ができてたなんて。しばらくは今と同じような関係が続くと思っていた俺には唐突な知らせだった。

帰り道
つ「え?おばさんから聞いたの?」
ハ「そうだよ。お前が美容師になりたいなんて全然聞いたことなかったからびっくりしたわ。」
つ「まー私って意外と手先器用じゃん?」
ハ「そういえばそうだな。絵とかも上手いし。」
つ「髪の毛とかいじるのも結構好きでさ。私は短いから簡単なアレンジしかできないけど。」
ハ「そういえば体育祭の時とか文化祭の時とか色んなやつの髪の毛やってたもんな。」
つ「そーそー!ああいうの結構楽しくてさ。やっぱ将来仕事にするなら楽しいことがいいかなって!」
ハ「そんな単純で良いのか...?」
つ「単純とは失礼な!ほんとについ最近まで悩んでたんだよ!この辺の学校にしようかとも思ったけど、なかなかいいとこなくて。」
ハ「そう、なのか。」
つ「適当なとこ行くくらいなら、東京行って、オシャレな空気吸って、カリスマ美容師目指しちゃおうかなって。」
ハ「カリスマ...」
つ「これでも結構真剣に悩んでたんだよ。でも、やっぱりどうせならって。」
ハ「俺にはなんの相談もなかったけどな!」
つ「相談したかったけど、お互い時間合わなかったり、部活忙しかったりで、なかなかゆっくり話すタイミング無かったじゃん!」
ハ「まあ、そうだけど...」
つ「え、なに?さみしいの?泣いちゃう??」
ハ「泣かねえよ!でも家族みたいに育ってきた奴が急にいなくなるって言ったら、なんか、不思議な気持ちになるだろ!」
つ「なにそれww...ハヤトはこの辺の大学に行くだもんね。」
ハ「まあ、そんなに真剣に考えなかったし、まだやりたいこととかも明確じゃないし...」
つ「将来コックさんになる!って言ってなかったっけ?」
ハ「それは子供の頃の話!」
つ「そっか...。ハヤトが作ってくれたご飯好きだったけどなあ。」

小学校低学年くらいまでは毎日一緒に登下校していた。学年が上がるにつれお互いに友達もでき、中学生になり部活がはじまったりと、少しずつ一緒にいる時間は減っていった。でもどちらかの親が留守な時はどちらかの家で晩御飯を一緒に食べたり、どっちも留守な時は俺がご飯を作って食べさせたりもしていた。そういえば中学のの卒業文集には将来はシェフになりたいとか書いたかもなあ。
お互い好きな人について相談したり、応援しあったり、それぞれ彼氏彼女がいたことだってある。振られた時は慰めあって、発散するために朝までカラオケに行ったり。本当に家族のような存在だった。結局俺たちはここに戻ってきてしまうのだ。でもこいつの帰る場所がここじゃなくなったら、おれはこいつにとってどんな存在になってしまうんだろう。

つ「どうしたの?」
ハ「い、いや、東京遠いよなあって。」
つ「なにそれwwそうだね、なかなか帰ってこれないかも。」
ハ「そうだよな。」
つ「美容師ってやっぱ練習とか試験とか大会とかで忙しいみたいだし。学生の時に頑張った分だけお店に入った時に差が出るから、やっぱり頑張りたいし。」
ハ「お前結構ストイックだもんな。バスケ部も頑張ってたし。」
つ「よく言ってくれました!!そうなの!意外と真面目で頑張り屋さんで心は繊細...」
ハ「そこまでは言ってない!」
つ「あはは。...でもそっか、じゃあ春からは別々だねえ。」
ハ「そう、なるか...。」
つ「悩んだり、落ち込んだりしたら電話するから話くらいは聞いてね。」
ハ「そんなの、当たり前だ。かぞく...」

- [ ] 家族なんだから、と言いかけてやめた。俺は今まで何してたんだ。こいつが隣にいるのが当たり前だと思い込んで。悩んだり、辛い時に一緒に居たいのは、俺だ。今までこいつに散々支えられてきた。こいつと離れて、他人に取られるなんて、嫌だ。俺はこいつが

ハ「好きだ...」
つ「は?かぞくすきだ?何言ってんの??」
ハ「違う!だから、お前が好きだって!」
つ「そんなの知ってるよ!好きじゃなかったら一緒にいないじゃんwww」
ハ「いやそういうのじゃなくて!!」
つ「なに??」
ハ「いや、え、俺もよくわかんないけど、あれ?!」

自分でも突然出てしまった言葉に驚く。
つかさもしどろもどろ

つ「そ、れは、家族みたいな好き?」
ハ「いや、それはもちろんお前のことは家族と同じくらい大切で、だから遠くに行って俺が他人に、ただの友達になっちゃうのって嫌だなって、だから、その」
つ「彼女にしたいの好き?」
ハ「は、いや、え?まあ、そう?なんだけど...」
つ「はははっ、ハヤトおかしい。」

そう言ってつかさはくるっと俺から体を背けた。

ハ「いや、ふざけるわけじゃなくて、ただほんとに...あれ、つかさ?泣いてる?」
つ「だって、ハヤトがいきなりそんなこと言うから...」
ハ「え、えええ、そんなに嫌か?!」
つ「そうじゃない!!」
ハ「ええっ」
え「ちがう!逆!ずっと妹くらいにしか思われてないと思ってたから...」
ハ「あ、ああ...」

そうか、つかさはもっと前から...
いつからだ。いつから俺はこんな風に彼女を扱ってきた。もしかしたら、俺が「家族」という言葉を口にする度に傷つけていたのかもしれない。なんて情けない男なんだ俺は。

ハ「つかさ、こっち向いて」

泣いているつかさの両肩を掴んでこちらを向かせる。

ハ「つかさ今までごめん。改めて、好きだ。俺と付き合ってください。」
つ「ば、ばかああああああ」
ハ「それは、はい、ってことでいいよな?」
つ「当たり前でしょぉ」

こうして俺たちは付き合うことになった。両親達も大喜び。俺たちの知らないところで結婚してくれたら良いなあと話していたらしい。そりゃそうかとは思うが、気恥ずかしい。
進路に関してはそのまま、つかさは東京に行って美容師の専門学校に、俺は地元の大学に行く。しかし少し変わったのはしっかりと目標を持てたことだ。俺は大学に行き経営を学ぶ。俺自身もやりたいことが見つかった時のために。つかさがいつか独立して店を持ちたいと言ったら手助けができるように。合間に料理の腕も磨こうと思う。4年間の間に資格なんかも取れたら良いな。
しばらくは遠距離にはなってしまうけど、2人の将来のためにお互いに頑張って、大学を出たら上京して、本当の家族になるんだ。




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参考動画

https://youtu.be/hmRSNlykCpk

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