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20220501☆:トゥの回:師匠の墓参り
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魔法薬の材料を補充しに
トゥが師匠と一緒に住んでいた町へ行った。
何がどうしてこうなったのか分からないけれど、
フェリシダーデとラリーサとマルコスと
ナセリアナとキャレンタと
リエーブレとギレルミナと
ランとトゥの9人で。
マルコスの家の契約竜に牽いてもらった
大きな車に全員乗って。
道すがら師匠の話を聞いていたギレルミナとキャレンタが
豪快に笑い始めて、
暫く二人ともお腹を抱えてから、
目尻に涙を浮かべて、
師匠の元住処参りに行こうと言い出した。
たぶん二人が知っている人だから確かめたいし、
亡くなってるなら
返してもらう物が一つと
あげる物が二つあるからと。
二人が物知りでトゥはびっくりした。
あの土地の魔術師は死んだら、
住んでいた家をそのまま墓に流用する。
これを知ってる人は少ないと師匠は言ってたから。
師匠も名前が無かったから、
ヒルフバセリット(地名)の緑窓の肚黒白魔青目兎と
一部の人が呼んでいた事を伝えたけれど、
そのあだ名は二人は知らなかった。
ヒルフバセリットのチビ大魔女と
二人は呼んでいたと教えてくれた。
悪いヤツだったけど、
憎めない愛嬌が有って、
とにかく腕が良かったから
連絡が取れなくなって結構困っていたとも。
懐かしい家に着くと、
八方の突飛な結界飾りを見て
二人がまた爆笑した。
彼等のチビ大魔女と同一人物だと判明したそう。
確かにこの結界飾りは師匠のオリジナルで、
色彩が喧し過ぎて流通しなかった物だった。
二人は途中で買った
目の玉が飛び出るほどの高値な酒を
棺へ惜しみなくかけて、
「ヒルフバセリットの緑窓のチビ大魔女オホザスーレスここに眠る。
感謝と敬愛を込めて名を贈る。
ギレルミナとキャレンタ」と
コート掛けに掛けたままにしていた師匠のマントに
キャレンタがその場で刺繍してから
コート掛けに戻した。
ギレルミナは厠の隠し扉(!)から
ヒューマンのオモチャの指輪を引っ張り出して
トゥに見せると、
これは私のだから持って帰らせてもらうわと、
この上なく優しい微笑みで言った。
二人の話す師匠の思い出話を聞きながら
みんなで賑やかにおやつを食べた。
帰り際に遣い魔がトゥにあっかんべーだけしに来た。
よっぽど照れ臭かったらしい。
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大きな客を迎えるのは隣接した家屋。
古くて分厚いガラスは
何も中は見せない。
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見ただけで気分が悪くなる配色。
風で揺れたり回転したりすると
もう最悪。
マリエラセス暦3903年5月6日黄曜日24時43分。
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