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20220607☆彡:トゥの回:端末アップグレード旅
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この日記を書いている端末を
高速化する部品をランと二人で買いに行った。
久しぶりに朝から
貸し自動車屋ブンブンで自動車を借りて
界狭間を使わせてもらって、
海も越えたとーっても遠い
違う世界線で
ナリスとチカッツが産まれた国の近く
エッツェン王国にある
世界一の魔導電気機器街バイガンザンへ行った。
殆どの魔導電気機器はこの国で作られていて
修理もアップグレードも廃棄回収も
頼むと全てここへ運ばれるそう。
ブンブンの支店から一番近い機器店で
端末を見せたら、
骨董品だから売ってくれと言われた。
ちょっと大きくなって
ちょっと分厚くなるけれど、
全ての記録と設定を引き継いで
全く同じ使い方で
今より速くて
今よりたくさん物を覚えられる新品を、
高速化する部品の代金だけで譲るからとまで言われ、
慌てて711号室の管理人に連絡した。
端末は、
何もかもが備え付けの部屋の
備品の一つだったから。
管理人は快く承諾してくれた。
どうやら何代か前の住人が、
何冊かの本と一緒に置いていった物らしい。
店主はガラス張りの作業部屋に入ると、
ガラス越しに
新品の部品をずらりと揃えて
並べて見せてくれた後、
一つ一つを組み上げて、
ランとトゥの日記も
刀畿氏と十輝氏の日記も
ちゃんと鍵まで再現して移してある物を
昼すぎに渡してくれた。
ランもトゥも興味津々で
店主と助手の仕事をかなり長い時間見ていた。
店員がお茶を数十分置きに出してくれて
気が引けたので
途中からは街の探検に出たけれど。
街も楽しかった。
視界が賑やかな不思議な街。
何処もアパートの中のように静かなのに
喧しいと感じたのは初めての体験だった。
昼間なのにチカチカキラキラしていた。
端末を受け取ってから、
ブンブンに申告していた通りに
ハムクス公国のミドバリを見に行った。
ナリスの生まれ故郷はまだ可愛らしい漁村だった。
まだ戦争も始まっていない
のどかな家並みを眺めていたら
何時の間にか二人とも泣きだしていた。
暫く二人でハグし合ってから
海鮮料理を食べて、
名物の魚の干物を買って帰ってきた。
明日何も言わずに
なりちかクッションに持たせようと思って。
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全部ごった煮の地図】
マリエラセス暦3903年6月15日白曜日25時2分。
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