20220106:711号室の回:酒宴
わたしは環を持つ土塊の星の
ストュスアイ王国セトフォルドに建つ集合住宅の711号室。
記憶と意思を持つ。
今日はマリエラセス暦3897年1月3日青曜日、
今のグロリアスは、
――初等・中等・高等教育中ずっと好敵手であった――
現コウドュク王達ての希望に応え、
無理を押して会談し、
安全保障条約の草案を練る事に成功した後、
気を失い、病院に再び戻らされた。
後のグロリアスは、
今の彼の武勇伝を肴に上機嫌を重ね、
コウドュク王とは特段親しくもなかった己の、
比較的平和であった己の、
世界の記憶を刀畿に共有した。
端末に交互に文をしたためながら
酒杯を互いに満たし合う事を繰り返す内に、
後のグロリアスの脳は刀畿の輪郭を認識するようになり、
酒宴は25時まで続いた。
我が住人達の満ち足りた様子は、
部屋にも好影響を齎し、一際澄んだ空気が行き渡った。
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スペインはグラナダへの長期取材を夢見ております。