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20211223:刀畿(とき)の回:文通

刀畿(とき)

流石我が最後の士官、

我が最年少にして最良の友。

爺グロリアスがポンコツ端末にメッセージを残した。


「私のかけがえのない友、刀畿へ


①私グロリアスが、

マリエラセス暦4051年を生きる者の部隊に入隊したグロリアスが、

此処に居る事は気付いているだろうか?①


私は此処の隊員なかま達のお蔭で、

君が此処に居る事は識ってはいるが、

君の姿が視えず、

君の独特の声どころか羽音も聞こえず、

この手段を採択した訳だ。


②此処の私が歳を重ねた私に、

何か助力を求めているのではないかと、

私は思い至ったのだが、

君に何か思い当たる事は無いだろうか?②


     享年不明グロリアスより」


「爺グロリアスへ


①俺様にお前様の魂は見えてるし、

爺なのも分かっていた。

俺様達蝙蝠獣人こうもりじゅうじんは視力はいまいちで、

お前様達ヒューマンを、

加護精霊かごせいれいと霊的な雰囲気ふんいきで総合して見分けてるからナ。

しかし、

我が病弱な最後の士官、

我が最年少にして最良の友であるグロリアスなら、

手前が死んだ事に気付かない訳はないから、

お前様は、

加護精霊も雰囲気も同じなのに

今入院してるグロリアスの未来のグロリアスではないと思われる。


②思い当たらん。

お前様とお前様の時代の俺様とが、

どういう関係を構築してたか分からんが、

俺様と今のグロリアスは、

夜な夜な晩酌してまあまあ何でも相談し合ってきた。

だから他人ではなくて俺様絡みの相談かもしれねぇな。

ますます俺様には分かる筈がないという事だナ。


     病弱ながら最良のヒューマンであるグロリアスの友刀畿より」


3896年12月18日せい曜日、上之城刀畿かみのしろとき:記。





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