20220609☆：トゥの回：鯉の恋
リエーブレと三人で買い物帰りに
いつもの神域へ寄って、
リエーブレの興味の赴くままに散策していたら、
ランが飛び込んで泳げるほどの
大きな水溜まりに初めて行き当たった。
川でも海でもない自然の水場
ランもトゥも初めて見た。
リエーブレがこれは池というものだと教えてくれた。
池から生えている大きな葉と花は
蓮の花だとも教えてくれた。
ランはズィゴーキュのお墓に彫ってあるのを
見た事があったけれど、
こういう所に生えている植物とは知らなかったそう。
なーつくなーつよ♪
やぁれこいしーやれんんげー♪
わぁがれんじょうぅやー♪
不意にトゥに歌が聞こえた。
リエーブレとランに歌って聞かせたら、
「懐く夏よ
やれ恋しや蓮華
恋情や」と
その昔
鯉の精霊がこの池で詠った後に
龍に成ったと刻まれた石碑を、
池の周りを見回したランが見つけた。
リエーブレはそんなまさか
鯉が花に恋して龍になんてと言ったけれど、
龍に成った鯉だという人と
なりちかクッションの店で会ってるから、
ランとトゥは存在を否定したくなくて
リエーブレに枯仇氏の話をした。
彼が恋を知っているかどうかまでは
分からないけれど、
登竜門という厳しい試験を通って
龍に成った鯉は確かに存在するのだと。
龍に成ろうと思う鯉は稀らしいから、
そんな稀な鯉には心があるだろうし、
心があれば恋もすると思うと力説したら、
リエーブレは大層感心してくれた。
どういう関係の知り合いなのか
訊かれなくて良かった。
異なる世界線の存在の事を濁すのは
なかなか難しいから。
登竜門番をしている鯉神：祥央鱗の
護衛鯉：衛枯仇がオリジナル。
祥央の父は鯉神だが、
生母が龍に成った鯉。
マリエラセス暦3903年6月17日赤曜日23時4分。
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