20211228:711号室の回:獅子打鍵
わたしは環を持つ土塊の星の
ストュスアイ王国セトフォルドに建つ集合住宅の711号室。
記憶と意思を持つ。
今日はマリエラセス暦3896年12月23日紫曜日。
今のグロリアスは、
意気盛んに満身創痍を奮い立たせ、
病室で筋力回復に勤しんでいる。
後のグロリアスは、
本日はとうとう一度も姿を現わさなかった。
刀畿は、
今のグロリアスを宥め、
抑制すべく病室に泊まり込んでいる。
後のグロリアスの加護精霊は、
刀畿の加護聖霊が現れる事を信じて
獅子の不器用な指先で打鍵して
かなのみの文をしたためた。
「わがめぐしごの さいりょうの かしかん ときへ
わがめぐしごが かいはざまに とりこまれ でられぬ。
きさまの ちえが ひつよう。
めぐしごししてなおのこるかごしゃより」
以上が全文だ。
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