大規模怪異発生日記11
主な登場人物
話中の万禮一家は、
メンバーシップ「夢了の皿」会員の万禮様のオリジナル・キャラクターで
設定その他は会員様御本人と話し合っております。
711号室出演者≒メンバーシップ会員様は常時募集中です♡
万禮様の偶さか日記も併せてお読みいただくと解像度とエモさが跳満です。
20230402
ナリスさんとチカッツさんが、
昨日の記念写真を届けてくれた。
写真を眺めながら始祖がニヤニヤして私に問うた。
始祖「誰の顔が一番好み?」
私「元の好みはやはり自分かな」
始祖「ハァ? オレスキーか!!」
私「? ……ああ!
ナルシストの事か。違うよ。
遊びの時はそう作るのが癖になってるって事だよ」
始祖「ほーん……エリカチャンは好みだったんだろ?」
私「良く知ってるなぁ。
好みだけど三十年でトラウマになったんだよねぇ」
始祖「ブッ……ギャハハハハハ!
ト! ラ! ウ! マ!」
私「僕達元夫妻について何処まで知ってるの?」
始祖「エリカチャンがちょーっと切れ易い事と、
一方的な離婚だった事、かね」
動揺している時の癖で
うっかり一人称が僕になってしまったが、
始祖は構わずにいてくれた。
洞察力の塊の癖に
こういう事で混ぜっ返さないのは
人ができてると感じて安心してしまう。
私「どうやったらそんな正確な情報が?」
始祖「凌司君が始祖になった時に教えるヨ」
私「なると思う?」
始祖「今のままの間はならねぇだろうな。
でも百年先も今のままでいる為には
死にたくなる程の努力が要る。
あんたさんにも俺にも医者にも。
一人だけじゃ無理だ。
つーか! 俺に化粧してる時、
良い顔してたが好みじゃなかったのか?」
私「ああ、見慣れたからかな、
新しい好みになったような
錯覚もしてない事もない気がしないでもない?
肌には間違いなく惚れ惚れしたよ」
始祖「……街を歩くのは30分以内で勘弁だが
化粧してもらう時間は楽しかったよ」
私「へぇ……意外、でもないか、
美容院もマメに行ってるみたいだものね。
触れられるのが好きなタイプなんだね、君」
始祖「ああ、相性はあるけどそれはあるな。
また何か口実見つけて遊ぼうぜ」
私「口実なんか無くても化粧くらい何時でも。
別に女装しなくたって良いんだから」
始祖「そっか! んじゃまた近い内な」
始祖は何かに納得したようで
鼻歌を歌いながら出て行った。
ふむ、彼の肌に合う色を増やすとしよう。
20230403
愛息朗正に誘われてカラオケに行った。
まだ友人と友人に関する記憶は戻っていないようだ。
何年か前に陽桜の何処かまでは覚えていないが、
念願の高校教師になったと言うので
一緒に祝いをしたのだが。
20230404
朝一番で始祖に怒鳴られた。
「俳優の癖に喉嗄らすなんて馬ッ鹿じゃねぇの!」
まだまだ舞台が無いとはいえ、
プロ意識に欠けていたかもしれない。
反省せねば。
20230405
頭と体が重い。
別居中の愛娘は、
自分からは一度も連絡を寄越さない。
メッセンジャーアプリで私が安否を問うと、
当たり障りのないスタンプだけが返される。
私から連絡される事を
彼女が内心では鬱陶しく感じているような気がして、
そう尋ね、そうだと返ってくる夢をみる。
寝覚めは最悪だ。
起きている間は
強い意志で押し退けられる奈落逝き妄想だが、
寝ている間は如何ともしがたい。
〜ゆく宛てなくただ漂う♪
壁の中のジプシー達よ♪
激しい雨が俺を洗う♪
激しい風が俺を運ぶ♪
激しいビートが俺に叫ぶ♪
何もかも♪
変わり始める〜♪
珍しく始祖が館内放送と紛うばかりの声量で歌っている。
ああ、そうか、また私の気鬱が伝わってしまったのか。
しかし選曲が良過ぎるなぁ。
選りに選って私の影響で
愛娘が夢中になったTHE MODSとは……。
ううむ、気合、気合だ。
私は掛け布団を横へ払って足を上げると、
ベッドを大きく蹴って腰を撥ね上げて
寝台脇へ立ち上がり、
枕を払った。
私が洗顔と着替を済ませて同階の厨房へ顔を突っ込むと、
始祖が何事も無かったかのように玉子を差し出した。
始祖「おはようさん。今日は凌司君が玉子担当な」
私「……ありがとう」
始祖「へっ、ドーイタシマシテ」
独り暮らし最高の民の称号は返上せねばならないな。