憂鬱な土曜日の朝、誰も知り合いがいないドトールに行くだけで、不思議と気力を取り戻す
時々、やることや考えなければいけないことはたくさんあるのに、朝起きて理由もなく絶望的な気分になることがある。
というか、今朝がそうだった。プライベートでここ最近頭を悩ませていることがあることもあり、せっかくの土曜日の朝なのに、とてもモヤモヤした気分で目が覚める。端的に言って、最悪だ。
僕は朝ごはんを食べてコーヒーを飲まないと頭が働かないタイプの人間なので、いつもは冷凍のご飯や作りおき、もしくはインスタントの味噌汁などで簡単な朝食を済ませているのだが、それを用意するのさえ億劫だ。
(※)本ブログは、株式会社PLANETSが発行する雑誌『モノノメ 創刊号』について、そのいち編集部員である僕が、個人的な所感を綴ったものです。このブログを通じて、より多くの方に『モノノメ 創刊号』を手に取ってもらい、既に購入いただいた方にはより多角的に雑誌を読む一助としてもらいたいという目的で書いています。
そういう時はいつも、自宅から徒歩5分ほどの場所にある、ガソリンスタンドに併設されているドトールコーヒーに足を運ぶ。
別に誰かと話すわけではない。新聞を読んだり、パソコンを開いたり、本を読んだり、スマホを眺めていたり、各々が思い思いに過ごす中で、僕もモーニングセットを頼み、パンを頬張りコーヒーを啜る。
そうして誰とも干渉はないのだけれど、たしかに空間を共にしている人たちがいる中で、匿名性に紛れていると、自然と気力が回復してくるから不思議だ。毎日のように来る店ではないけれど、時折こうして回復のきっかけを与えてくれる、僕にとって大切な場所だ。
PLANETSの新雑誌『モノノメ 創刊号』に収録されている、[連載]ひとりあそびの(おとなの)教科書 #1 「世界の果てで、ウニモグを走らせる」では、まさにこうした「互いに無関心」な人々の共存がもたらす感覚を、少し変わったシチュエーションから見事に説明してくれている。「みんな」でワイワイ遊ぶのではなくて、「ひとり」で遊ぶからこそ見えてくる世界の豊かさを考える連載の一記事目だ。著者が「ウニモグ」というトラックを走らせるため、人の気配の少ない場所に出かけたときに遭遇した、意外な「出会い」について語られる。
……相手を排除しようとしたり、その場を去ろうとする人は一人もいなかった。それはたぶん、それぞれがそれぞれの方法で、孤独に目の前の世界と向き合うことに充足していたからだ。青年は思いっきり大音量でサックスを吹くことに、おっちゃんは思いっきり上半身を露出してその肌に日光を当てることに、そして僕は思いっきりウニモグを走らせることに。(p295)
完全な孤独ではなく、でも誰かと話すのでもない、中途半端な状態こそがもたらしてくれる豊かさがある。そう気づかせてくれる記事だと思う。
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