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【囲碁9路研究】小太刀一刀流

今回は囲碁クエスト9路の戦法の一つである、
「小太刀一刀流」
について研究をまとめていきたいと思います。
筆者は戦法ランキング1位まで行くことができましたが、上位陣が対策を用意し始めて通用しなくなってきたので、得られた研究成果をここに供養したいと思います。黒に対して辛口です。対象棋力はそこそこ高め(囲碁クエ1700~)だと思います。

小太刀一刀流は、上図に示した戦型で、黒の初手高目、白の2手目高目に対して相手の白石の裏側にいきなりツケを打っていく(!)戦法になります。戦法の性質上激しい戦いになることが予想され、読みの力が重要になるので、戦闘好きの方にオススメです。

白が穏やかに受けた場合、上図のようになり、いい勝負です。単純な囲い合いだと黒が有望なので、白は下辺の空きスペースを有効活用する必要があります(7の右にハネ出す手が有力です)。黒7では下辺のケイマ(5の7)で連絡する手もあります。

白が小太刀一刀流を咎める最強の手順です。白は6から8と強く2目の頭を叩けば、怖いようですが黒はダメ詰まりのため容易に反発できません。その後白14がポイントの手で、捨て石を活用することで右辺に広大な白地を築きます。これが白有望とされ、9路研究勢の間ではこの戦法が姿を消しましたが…

そこで私がKataGoの助けを借りながら編み出したのが黒13です。以下白が自然に打っていますが、黒21が左下を捨て石にする含みを見せつつ、あわよくば攻め合いに勝ってしまおうという好手です。以下難解ですが、白が苦労する局面だと思います。ちなみに白16で2-5からキリを打ってしまうと下辺の白が攻め取りになって負けます。

白の正しい対処は、白16で黙って下辺をヒラく手で、これで白が有望です。前図16の1線下アテは強い人ほど見えてしまう手筋ですが、この場合は左上の死活に悪影響が出てしまうのが難点です。囲碁クエ強者でも初見でこの対策を看破してきた人はほぼいませんでした。(今では結構これを打たれてしまいますが…)

また、白は4手目でノビを打つ手もあり、上図のような殴り合いになればいい勝負ですが、若干黒が勝ちやすい印象です。

4手目ノビの場合、こちらの進行を白に選ばれた方が黒としては嫌です。左下の黒の味がすこぶる悪く、かなり打ちにくいです。

まとめ

この戦型は残念ながら理論的には黒の無理筋で白の4目(?)勝ち(中国ルール)になります。(とはいえ、咎めるのはそう簡単ではないです。)

ちなみにオセロ業界では、ゲームの結論(引き分け)と大まかな手順がわかっています。最善手を打つと、相手もその対処法を知っていて正しく打たれてしまう可能性があるため、あえて少し不利になる代わりに相手が間違えやすいような手を選ぶことがあるようです。

囲碁もオセロも同じ二人零和有限確定完全情報ゲームであるという本質は変わらないので、いずれ囲碁もオセロと同じような道を辿るのかもしれません。そうなった時、我々が人-人の対局において選ぶべき道としては最強最善で王道を行くだけではなく、ハメ手のように相手を沼地に引きずり込み、奈落へ陥れるような邪道もまた正しい道なのかもしれません。人間は完璧な生物ではないのでね。


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