父との思い出
小学生の頃はネットが今ほど環境に溢れていなかった。そんな時代の父親とのハートフル話。
当時の家ではネットを使おうと思っても、起動が遅いノートパソコンを取り出してきて、色々な配線を繋いでやっと使える状態になると言った感じで、今のスマホと比べると四六時中使うものではなかった。しかも、家族で一台しかないので使う場面がほとんどなかった。
そんなパソコンだったが、毎月一日だけ近所のパソコンに詳しいオジさんが家に来て教えてくれる日があった。その日だけは教えてもらった後に、パソコンでゲームをしたり、ネットを使ったりできたのだ。
パソコンを教えてもらう日、母親は仕事で遅くなるようだったが、いつものように、父親とパソコンを教えてもらった後にゲームをしていると、風呂に入る時間になった。片付けようとしていると父親から「いいよ、片付けておくから」と言われ、そのまま風呂に入った。
(今日は片付けてくれるんだな、優しいな)
そう思いながら、風呂から上がって机の上を見ると、出しっぱなしのままのパソコンが置いてあった。周りには誰もおらず、父親はトイレに行っているようだ。
(片付けてないじゃん、しょうがないなあ)
と思って、片付けようとした時、手がマウスに触れ、ちょうどスクリーンセーバーがかかっていた画面がパッと切り替わった。
薄暗い画面の中に『無修正エロ画像』が映っていた。
(なんだこれは……!?)
小学生で全くそういう知識がなかった自分は衝撃を受けたのと同時に、なぜか見たことがバレるとまずい、と思いこっそりと逃げるように部屋に行った。
結局その後すぐに片付けていたようだが、その後の数日は自分と父親の間になぜか気まずい空気が漂っていたのだった。
そんな父親に向けて今言いたいことがある。
「親父、安心しな、誰にも喋ってねえから」