私は「teto」が大切だ
みなさんはtetoというバンドがこの世に存在したことをご存知だろうか。
2016年1月の結成から2022年1月25日までの6年間、確かにtetoという名のバンドが居た。
現在はthe dadadadysという名に改名し、息をし続けている。
改名してメンバーが変わった今も、私は彼らの音楽を聴いているが、
tetoの存在を未だに忘れられずにいる。
いや、正確にはtetoが居なくなったことを引きずっている。
私がtetoと出会ったのは、2018年冬、テレビに映る深夜の音楽番組であった。
名前こそ聞いたことあるな～くらいで、
正直彼らの見た目もあまり印象的ではなく、
ただなんとなくテレビ画面を眺めていた。
ところが、彼らの演奏が始まった途端、
私の心臓がキュッと鳴った。
音と歌詞と声が、身体に焼き付いたのがはっきりとわかった。
なーにポエマーみたいなこと言ってんだｹｯって、自分でも思うけど、
本当に「焼き付いた」があの時自分に起こったことを
表現するには一番適切な言葉だと思う。
この曲は生のあの感じを伝えたいが、
公式なライブ映像が見つからなかった。
その辺に転がってる動画探してみてくだされ。
「あのトワイライト」
歌詞だけ読むと抽象的で、おそらく初見じゃ情景や感情は伝わらないかもしれない。
「ヘルマンヘッセ」や「クロエモレッツ」だとか、
ちょっと洒落た横文字の名詞にピンと来ない人もいるだろう。脱線するけど、教科書に載ってたヘッセの”少年の日の思い出”ってなんか妙に記憶に残ってない？私が”トワイライト”って言葉が好きなのも相まって、じわっと遠くに見える輝きが綺麗でさ、
当時は作品の良さ何もわからず、少し退屈していた気もするけど、大人になった今、あの苦いジリジリした描写がめちゃめちゃリアルに感じる。エーミールの軽蔑した表情とか想像できるもんね。
あと、こないだテレビであってたトムとジェリー実写のクロエ超可愛かったね。
体は立ち止まっているのに、焦って走り出した心の中が飛び出したみたいな曲で、
そこそこ乱暴な演奏と歌が美しくて誰にも止められないものに感じた。
あの日から焼き付いて消えない彼らの曲をもっと濃く残したくて、早々にCDを買った。
開封してすぐ、ジャケットも好みで、あまりにも愛おしくてCDケースごと抱き締めたのを覚えている。
このアルバムに入っている「9月になること」は、ファンの中でもかなり愛されている曲だが、本当に名曲（等とたった２文字で言い表す自分に腹立つが）である。
とりあえずこの動画の愛溢れるコメント欄を見てもらったほうが、私の稚拙な文章よりよっぽど伝わるはず。むしろこれが全て。
９月という季節は、目や鼻や耳や肌で夏の終わりが感じられる。
学生は長い休みが明け、社会人も慌ただしかった新年度から半年が経ち、日々不幸とは縁なく生きている人でも肌寒さから１年の終わりを意識し、どことなく哀愁を感じる季節だろう。
夏の暑さにのぼせていたのが、急に我に返るのかもね。
さて、そんな９月になって暑い暑い夏を振り返ると、その時はどうでも良いと思っていた出来事やうんざりした景色や気象、すぐそこにいたはずの夏は遠い遠い場所にいて、もう取り戻せないものもたくさんあって、「ひと夏の○○」とはよく言ったもんだなと思うのだった。
気づいたら「9月になること」に英題のようなものが付いていてさ、
S.W.A.L.K = sealed with a loving kiss
愛のキスを込めて（封をした）
ここまでしっくりくる表現ある？ってくらいにときめいた。
これ考えたのも小池貞利なのかなあ。
ちなみに私は小池貞利に夢中だ。彼の全てに心底惚れている。
ああ、このまま永遠にtetoへの愛を描き綴ってしまいそう…
この表題にもある通り、
私は「teto」が大切だということに気付いた。
tetoの終わりが告げられた頃、グッズのクリアランスセールが行われた。
普段はあまりグッズに興味のない私が、その時ばかりは無心に買い漁っていた。
手元に届いてからも愛おしくて愛おしくてたまらなかった。
タンブラーを職場へ持って行ったその日、
「それ、今まで持ってなかったよね？」と声をかけられた。
「好きなバンドが居なくなっちゃったんです。いや、居るのは居るんですけど。でもこの手に名前を残したくて。」
そう口にして、自分でも驚いた。
そうか、私は「teto」が大切だったんだなぁ、と。
確かに「teto」という名のバンドが居た、という証を
形でも手元に残していたかったんだと思った。
tetoが居なくなって、１年が経った。
私は今日もこうして、tetoが居なくなったことを引きずっている。
別に忘れたい訳でもなく、現状が苦しい訳でもない。
だから、このままずっと引きずっていこうかな。
小池貞利はずっと小池貞利だし。
愛しているし。？
今後もちょくちょくtetoの音楽を紹介するけど、
気が向いたら聴いてみてください。