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【アラサー限界婚活#3】コース料理で予約する男

今回の話はコース料理で予約する男です。

マッチしたのは33歳自称コンサル勤務。
前職は官僚と記載があり学歴厨の胸は踊ります。
官僚はいいですね。国公立高学歴の香りがします。

高身長でまじめ、顔は整っている部類で、マッチ後のやり取りにおいてもストレスがなかったためアポを取り付けました。

この頃私は週3のペースでアポを入れており、
質より数を重視していました。

質といっているのはアポを取る事前のやり取りの段階で会話の内容やペース、価値観をすり合わせることで、より相性がいいと保証された人とアポを取るということをさしています。

今にして思えば、前段である程度精査しておいた方が無駄な移動時間、地獄みたいなデートの時間(以下参照)を回避できるという意味で効率がいいと理解できますが、
婚活が長引くとふと焦り出す瞬間があり、
このときがそういう時期だった記憶があります。

参考


ただこれが結構めんどくさいんですよ。

相手の好きなものから話を膨らませる、
違和感のない流れで出身大学を聞き出す、
ときどき砕けた内容を送って様子を見る

これを同時に10名くらいとやり取りするのはかなりプライベートの時間を消耗させるわけです。
この段階ではそこまでやっていなかったので、
ほぼ相手のことを知らない状態でお店に向かいました。

指定されたのは銀座の大衆系鍋料理店。
銀座の中でも京橋寄りのお店で、夜の銀座を歩きながらどんな人だろうと思案。
時間通り到着すると、すでに相手の方が座っていました。

簡単な挨拶をすると「今日はコースにしたので飲み物だけ選んでください」と男性。

私はフリーズしました。コース。

マッチングアプリのデートにおいてコースを選ぶ男が私は無理でした。

ただでさえ関係構築ができていない男女が会話する最低限のきっかけが「メニューを選ぶ」ことなんですよ。
その楽しみを奪うのがコースです。

そもそも、大衆系の店のコース料理はほぼテンプレでどこかで食べたことがあるようなものが出てくるので単純な食事としてもテンションが上がらない。

許せない。
食事も楽しまないしメニューを選ぶ楽しみも想像できない男が許せない。
お前はマジでコンサル勤務なのか。
コンサルなのに相手の気持ちも想像できないのか。

ただ予約してもらった手前文句を言うことが失礼なのはわかっているので当然「ありがとうございます」と伝えます。

「お仕事はコンサルされてるんですよね!
新卒からずっとコンサルされてたんですか?」

コース予約だったことが一生尾を引いている状態だったので、本当にコンサルなのかを確認しようと自分から話題を振ってみることにしました。

「新卒では地方の信託銀行に入ったんですよ!
でも年功序列が辛くて3年で辞めました!」

地方の信託銀行の年功序列が辛いことなんか新卒で入る前にわかるだろ
コース予約の段階でかなり帰りたくなっていた心にさらに追い打ちをかけるような返答にしびれました。
コンサルの経歴のたしからしさを検証したかったはずが、とんだ魍魎の匣を開いてしまった。

待て、高学歴国公立卒が地方の信託銀行に行くか?

「信託銀行やめた後は、実は医学部に行ってみたくて、実家で無職で受験勉強してました〜」

「大学受験しなおしたってことですか!?すごいですね」

「いやぁ、でも2年浪人して受からなかったので結局また就職することにして」

「へ、へぇ…でも受験大変ですもんね…」

お前の人生計画がぐちゃぐちゃすぎて頭が痛くなっています。
2年も無職させてくれたご両親がすごすぎる。
実家が太いんでしょう。

いやいや、親に縋って2年も勉強したんだからそこまでいったら医学部入りまでやれよ、とか
心無い言葉が喉まででかかってしまったので落ち着くことにします。
待て、やはりそもそもお前は国公立卒ではない?

「浪人できるのすごいですよ!1年中勉強し続けるってそれだけでもえらいですね」

私の生きながらにして培ってきた褒める力をここぞとばかりに結集させました。
私の中ではこのアポはさっさと撤収するに限ると言う判定になっていますが、

コース料理が故に30分で切り上げることができない

よって、せめて地獄のような雰囲気にせず
気持ちよくヨイショして気持ちよく奢ってもらういつものモードに切り替えることにしました。

「いやぁ、それも実は毎年舐めてかかっちゃって、最初の半年はゴロゴロして、残りの半年でやってたらダメでした笑」


ご両親に代わって私がこいつをぶん殴ってやりたいと思いました。

お前マジでよくその根性で生きてこれたな
太い実家(推定)に感謝しろよ

「そ、そうなんですか…笑
そこから官僚になられたんですか?」

そう。まだこの男には官僚の経歴がある。
無計画に地方の信託銀行に入り
無計画に医学部受験のために2年ニートをした彼に
きっと履歴書の救いが……

「あ、それは実は医学領域がわかるという採用でNPO法人から厚労省に出向してたんです」

あ、自分もう帰っていっすか?

あまりに堂々とした経歴詐称


その後のことはもうあまり記憶にありません。
覚えているのはトイレに立ったタイミングで店員をこっそり捕まえ、

これから先に出るコースを、すべて一気に持ってきてほしい、
お会計も程なくして出して欲しい
と頼んだことだけでした。

結果として1時間たたず料理は全て出きったので、追加の飲み物を頼まず、
スムーズに会計をしてもらい解散しました。

なお、コンサルという経歴は嘘ではなかったもののコンサルと名乗るような会社でもなかったことを注釈しておきます。


帰りがけにLINEを求められたので「あとで送りますね!」と伝えて逃亡しました。

私を酷い女だと思う人もいると思います。
ただ、私からすればマッチングアプリで経歴詐称する男の方が酷い男だと思います。


最後に

マチアプでコース料理は絶対に頼むな

私からは以上です。


今日行った店

調べたら潰れてました。(おわり)

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