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欲望の見つけ方 お金・恋愛・キャリア

パート1 模倣の欲望の力

隠れたモデル

私たちは欲しいものとのあいだにはまっすぐな直線が引かれていると信じているが、実際には、線は必ず曲がっている。
私たちの心の奥底には、何かを欲しいと思わせる人やモノがある。欲望にはモデルが欠かせない。
私たちはいつもそうしている。ブランドも学校もレストランのメニューも、人の目を通して選んでいる。

動物は、音、表情、ジェスチャー、攻撃などの行動を真似る。
人間はそれ以上にさまざまな行動を真似る。

ゆがめられた現実

私たちは人の魅力は客観的な性質ー話し方、知性、粘り強さ、機知、自信などがもたらすと考えがちだ。これらも影響するが、それ以上に大きなものがある。
私たちは一般的に、欲望とのあいだに異なる関係を築いている人に惹かれる。他人が欲しがっているものは気にしないように見える人、あるいは同じものを欲しがらない人は、別世界の人間のように感じるものだ。模倣に影響されず、反模倣的にさえ見える。だから魅力的なのである。

セレブの国」の人たちは異なる欲望の宇宙に住んでいる。時間、空間、金銭、地位において十分に距離がある場合には、競争意識はない。
セレブの国には、必ずモデルと真似るものを隔てる壁がある。対立する恐れがないので、私たちはたいてい自由に公然と彼らを真似るということだ。

一年生の国」の人たちは密接に関係し、言葉にしない競争意識が溢れている。ほかの人の言葉や行動や欲望にいとも簡単に影響される。
模倣の欲望は、友情にとって絆にもトラブルの元にもなる。2人を引きつけた力ーー模倣の欲望ーーは今や引き離す方向に作用し、2人は差別化に躍起になる。
全員が他の誰かから模倣のヒントをもらっているが、ほとんど人がそのことに気づいていない。それぞれが他者より優位に立てるアイデンティティを模索している時、差別化の無言の闘いが勃発している。

乗っとられる称賛

人は自分のモデルの素晴らしさを常に過大に受け止める。
モデルがセレブの国の住人であれば、人々は隠すことなく熱い視線を送り、褒めそやす。しかし自分が近所の人、同僚、あるいは友人の誰かみたいになりたいと思っているという事実は、恥ずかしくて認められない。
一年生の国では、模倣の競争は、2人が同じ車に乗って互いに競争しようとするようなものだ。どちらかが先を行くことはなく、最後は事故を起こす。

模倣の欲望に対処するコツ
不健全なモデルとの境界をつくる
彼らがあなたに及ぼす力から距離を置くことが肝心だ。ex)SNSをチェックしない...etc

弾み車効果

模倣の欲望は二つのサイクルのどちらかで動く。

サイクル1はネガティブなサイクルで、そこでは模倣の欲望は対立や争いにつながる。他人は自分が持っていないものを持っていて、双方の欲望が満たされる余地はないという誤った信念のもとに回っている。
サイクル2はポジティブなサイクルで、そこでは模倣の欲望は共通の利益を求める欲望で人々をつなぐ。豊かさや相互に与え合うといった心理から生まれる。このサイクルは世界を変える。人々はそれまで想像もしなかったものを欲するようになり、さらに他人がもっと前に進めるように手を差し伸べるようにもなる。これがポジティブで自己実現的なサイクルが動き出したときに超優良企業のなかで起こることだと言う。


ポジティブな弾み車

判断の安全性

「最初の石を投げる」
最初の石は模倣のモデルを持たないたった一つの石だから。
最初に投げた人は方法を示す、二人目は欲望を増大させる。そして三人目は、先の二人の模倣モデルの模倣の力に影響される。

もし公共の場で行う調査や投票を企画するのであれば、ほかの人の意見は見えないようにすることが重要だ。模倣の影響力はとにかく強い。
集団で判断するときには、投資判断でも、陪審員でも、一人一人ができるだけ独立したプロセスを経て判断できるようにすることが肝心だ。


パート2 欲望の変容

反模倣的であること

あなたの世界に欲望のシステムの地図をつくる

どの業界、どの学校、どの家庭にも、あるものを欲しい、あるいは欲しくないと思わせる特定の欲望のシステムがある。どんなシステムがあるか知った方がいい。いま自分が置かれている欲望の世界の境界線を把握すれば、それを越える能力が得られるだろう。

欲望を検証する

欲望は額面通りに受け取ってはいけない。どこに向かうのか確認しよう。
特に結婚、転職、起業といった人生の重大な選択をするとき、これと同じことを自分が死の床にいると想像して行うことだ。

シンパシーにまつわる問題

シンパシーは「いっしょに感じる」という意味だ。
シンパシーは容易に模倣に乗っ取られる。

エンパシーは「なかに入る」ことを意味する。
それは他社の経験や感情に入り込む能力である。ただし、冷静さは失わない。

共感とは、他者の経験を共有する能力である。ただし、相手の話、信念、行動、感情を真似ることはなく、自分自身の人格や冷静さを失うまで共鳴することはない。共感は反模倣的である。
共感する能力がある人は、他者の経験に入り込んでその人の欲望を共有することなく、その人の考えや感情を共有できる。つまり、共感できれば、他の人のようにならなくてもほかの人と深くつながれる。

濃い欲望

濃い欲望とは、表面からは見えない奥深く、地球の中心に近いところでつくられるダイヤモンドのようなものだ。一方、薄い欲望はきわめて模倣的で伝染しやすく、たいてい底が浅い。

充足の物語

濃い欲望を見つける方法として、コア・モチベーショナル・ドライブを特定すること。その人特有の変わらない動機づけのエネルギー。
これを語る時には、その行動を取ったことで最終的に深く満たされた時の話をする。

  1. 行動であること
    あなたが具体的に行動して、あなたが主役でなければならない。

  2. 自分でうまくやったと思っていること
    ほかの誰でもなく自分で評価して、非常にうまくやったと思えることでなければならない。

  3. 充足感をもたらすこと
    翌朝になっても満足感を味わえるもので、翌朝になっても満足感を味わえるもの。

「なぜその行動はあなたにとってそんなに重要なのか」
この問いと答えはポジティブな模倣のサイクルのはじまりとなる。

人は核となる動機づけの原動力を複数持っている。重要なのは、それらがいっしょになって働くこと。

超越したリーダーシップ

  1. 重力の中心を動かす
    超越したリーダーは、自分の欲望を全面的に主張することはない。重力の中心を自分から離して超越した目標に向け、自分はみんなと肩を並べて立つようにする。

  2. 真実のスピード
    組織の健康は、そのなかを駆ける真実のスピードに直接比例する。

  3. 識別する力
    合理的な分析を行なった上で、さらにそれを超越する決断をくだすプロセス。

  4. 部屋のなかで静かに座す
    自発的に孤独に身を置き、正しい識別を目指す。サイレント・リトリート

  5. フィードバックを濾過する
    絶え間なく流れてくるニュースや市場調査など、迅速なフィードバックに執着しない。それよりも先に、自分の、他人の濃い欲望に反応する。

起業家の定義
100人が同じ山羊の群れを見ている、99人は山羊を見る。1人はカシミアのセーターを見ている。先を読み、目に映るもの以上の何かを見て、何かしようとする気持ちとそれを実行できる能力から生まれるものだ。

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