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展示会投資の考え方:計画と評価の方法

こんにちは。LayerXでマーケティングを担当しているMJ(@MJ_LayerX)です。普段は展示会や各種マーケティング施策を通じて、新規顧客獲得や売上拡大に取り組んでいます。
この記事では、展示会への投資判断について、SaaSビジネスの視点から計画と評価の方法を解説します。前の記事も併せて読むと効果的です。


展示会投資の基本概念

展示会は、BtoB企業にとって顧客と直接対話できる貴重な場です。しかし、その投資が成果を上げるかどうかは、適切な判断と評価が求められます。展示会の「良し悪し」は、自社やプロダクトの成長ステージ、さらに市場の状況によっても変わります。そのため、まずは展示会投資の基本的な考え方を整理し、具体的な目標を設定することが重要です。

例えば、目標ARR(年間経常収益)やMRR(月間経常収益)を明確にし、それに基づいて展示会の成果を評価します。展示会をビジネスにどう貢献させるかを考える上で、目標数値を持つことは必須事項です

展示会投資を評価するKPI

展示会への投資効果を評価するために、いくつかの重要な指標(KPI)を紹介します。特に以下の指標は、展示会の成果を数値的に把握しやすく、投資判断に役立ちます。ちなみに解説はChatGPTに書いてもらいました。

  • ARPU(Average Revenue Per User: 顧客単価):
    顧客1人あたりの平均売上を示す指標。展示会で獲得した新規顧客のARPUを把握し、その質を評価します。

  • CAC(Customer Acquisition Cost: 顧客獲得コスト):
    顧客1人を獲得するためにかかるコスト。展示会の費用を踏まえ、効率的にリードを転換できるかがポイントです。

  • PayBack(回収期間):
    CAC(顧客獲得コスト)をARPUで割り、その回収に要する期間。展示会にかかるコストがどれくらいの期間で回収できるかを示します。

  • Churn Rate(解約率):
    顧客が解約する割合。新規獲得顧客のChurn Rateが高い場合、展示会での投資効果が減少します。

  • LTV(Life Time Value: 顧客生涯価値):
    1人の顧客が生涯にわたって生み出す総売上。展示会で獲得した顧客のLTVを高める施策が必要です。

  • Unit Economics:
    CACとLTVの関係性を基にした経済指標。効率的な投資かどうかを評価するための尺度として用います。

めちゃくちゃいい図があったのでご紹介
アルプ様の「SaaS・サブスクリプション事業の主要KPI一覧 売上貢献度を見極める」より抜粋

展示会の成否は最終的に売上貢献度で判断されます。単なる名刺交換やリードの数だけでなく、どれだけ有効商談に結びついたかが重要です。
例えば、展示会に参加した人数が37,160名でも、実際に商談に進んだのはその一部に過ぎません。そのため、ブースを通過した人数やキャッチ率(足を止めて話を聞いた割合)などを細かく分析し、商談化率や受注率といった数値に基づいて、展示会の有効性を判断します。

目標MRR50万円の達成に向けたKPIの例。数字はサンプルです。

ちなみに当社の場合、上記の成果から投資判断は以下のようにします。
各社によって目標数字は変わると思いますので、他のチャネルなどと比較しながら決定すると良いでしょう。

PayBackとUnit Economicsで判定する。数字はサンプルです。

投資判断を最適化するためのタイムライン

展示会投資の意思決定は、長期的な視点で行う必要があります。一般的に、展示会の投資判断は最大12ヶ月前に実施し、成果が現れるまでには時間がかかることを理解しておくべきです。そのため、展示会のスケジュールは15ヶ月前から決めておくことが多く、また中期経営計画と連携させることが重要です。

投資判断のスケジュールを以下のように細かく管理します。
- **検討・申込**: 実施の15〜12ヶ月前
- **準備開始**: 展示会実施の3〜1ヶ月前
- **追客・商談**: 実施後から0〜6ヶ月
- **評価**: 実施後6ヶ月

申込開始は各展示会主催者に依存するので、早めにコミュニケーションをとりましょう。

これらのプロセスを中長期的に計画し、予算策定や目標売上を明確にしておくことで、展示会への投資が効果的に活用されます。

また、年に複数回の出展を検討する場合、上記のプロセスが複合的に発生します。例えば下図のような形です。

コホート的概念を持って、複合的に検討することが必要

25年度の費用計画(青枠内)は、検討〜評価のスケジュールを見越して23年度4Qから考えておく必要があります。必然的に、中期経営計画の作成(把握)が必要になります。
また25年度の費用計画では、同年度内で上半期実施分の売上しか評価できないことがわかります。26年度 2Qまでの売上目標を把握し、展示会の目標貢献額を決めておかなければなりません。(n)~(n+6)月の間で受注が生まれますが、月毎の売上目標とも擦り合わせながら検討することが必要です。
※商材によって受注までのリードタイムは置き換えてお考えください。

各展示会からの受注が積み重なる(と嬉しい)

展示会のスケジュールは概ね18ヶ月前から決まっているケースが多いです。主催各社とのコミュニケーションを強化して、常に最新情報を把握しておきましょう。また、独自のイベント・カレンダーを作成しておくと便利です。
予算策定時、最大で7四半期分の展示会が追客、実施、検討、評価のいずれかの期間で重複します。タスクを分解し、責任の所在を明確にしておく必要もあるでしょう。
お金を使う場合は購買申請や支払い申請もたくさん発生するので、バクラクを入れておくと便利です(宣伝です)。

まとめ

展示会は、マーケティング活動の中でも大きな投資を伴うものです。投資判断をする際には、KPIを使って成果を数値的に評価し、長期的な視点で計画することが必要です。展示会は一度のイベントで終わらず、商談や追客を通じて売上につなげるプロセスが重要です。これらを意識し、しっかりと投資効果を高める施策を実施していきましょう。

ご意見・ご質問があればXまで。


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