有吉尚子先生のアレキサンダーテクニーク体験会に参加してきました
アレキサンダーテクニークとは、オーストラリア人のFrederick Matthias Alexanderさんが作り出した理論です。
このアレキサンダーテクニークに関しては以前から気になっていましたが、有吉尚子さんというプロのクラリネット奏者がアレキサンダーテクニークの体験会参加者を募集しているということを知り迷わず申し込みました。
アレキサンダーテクニークテクニークとは?
まず初めに、アレキサンダーテクニークとは何かについての説明がありました。どんな理論なのかをきちんと説明するのは難しいですが、私の中では以下のように解釈しました。
普段無意識に行っている動作を細かく分解し、意識的に動作させられるようにすることでより精度の高い身体操作ができるようにする
骨格や筋肉の付き方を理解し、より正確な身体操作ができるようにする
この考え方は、普段私が行っている研究と共通している点が多く非常に腑に落ちました。
具体的に共通点を挙げてみます。
普段無意識に行っている動作を意識的に行えるようにする→前回の記事で説明した「楽器で出そうとしている音と同じ音を息で出す」というのはまさに「無意識に行っている動作を意識的に行う」ことが一番の目的です
骨格や筋肉の付き方を理解する→まだ詳しく説明していませんが、内視鏡で喉の状態を観察しながら楽器を吹き、その時にどのような変化が起きているのかを調査中です
どのような変化があったか
今回の体験会では、「高い音を楽に出せるこつ」をアレキサンダーテクニークの観点から教えてもらうことを目的としていました。
教えて頂いた内容を簡潔にまとめると、以下のような変化がありました。
普段リラックスしている状態では難なく出せる高音域の音が、少し緊張しただけで出しにくくなってしまった
リラックスしている状態と少し緊張した状態で具体的にどのような違いがあるのかを見つけ、緊張していても普段に近い状態で出せるようになった
これにより、緊張状態になると特に出すのが難しくなる【高音域の音】を安定して出せるようになりました。
意識的に行うようにした動作
具体的にどのようなことを意識して行うようにしたのか、詳しく書いていきます。
頭蓋骨と首の付け根を楽にする
緊張状態になったときや息を沢山吸った時に頭蓋骨と首の付け根付近の筋肉に力が入りやすく、ここが固くなると色々な動作をするのに支障をきたすそうです。
この部分が自由に動くような状態を保つことが非常に重要です。
特に、息を沢山吸おうとして【胸を張る】ような姿勢になると首の筋肉に無駄な力が入りやすいので、息を吸う時に【少し首を前に出す】と良いそうです。
肺の中の息が減ってきた時に息を絞り出す方法
普段家で練習している時には簡単にできていたはずの【低いB♭から2オクターブ上のB♭まで音階で出す】というのが、少し緊張しただけで上手くできませんでした。しかし、真ん中のB♭から吹き始めて1オクターブ上のB♭まで吹くことはできたので、高いB♭を出すこと自体に問題があるわけではないと考えました。
そこで、「低いB♭から吹き始めたことで高い音になった時に肺の中の空気の残量が少なくなっていた→肺の中の息の量が減ってきた時に上手く息を吐くことができていないのではないか」と思い、そのような場合にどのような体の使い方をするとよいのかを質問したところ、下記のようなアドバイスを頂きました。
日本の管楽器指導でよく使われる「お腹で支える」「お腹に力を入れる」という教えによって【腹直筋】に力を入れてしまう人が多い。しかし【腹直筋】に力を入れても息を吐きだすための手助けにはならないし、音が固くなるという説もあるのでこの筋肉に力を入れる場合は注意が必要。
【腹直筋】に力を入れるのではなく、【お腹をへこませる】と息を吐きだすための手助けになる
肺の周りにある肋骨は体の前でつながっているので、息を出す=肺をしぼませるには背中側の筋肉を使う必要がある肺を下側から押すために、おしりのすぐ上にある筋肉【骨盤底筋】を使うことも意識するとよい
2024/11/16追記
上記の3について有吉先生からご指摘を頂いたので内容を修正します。
3.管楽器演奏中は肋骨を閉じる動きはあまり使わない方が細かなコントロールが可能になるので肋骨の開きは維持しつつ、骨盤底からの圧力とお腹周りの背中脇腹の筋肉によって内臓を押し上げる動きが肺の容積を減らすという結果を生む
下半身による支え
椅子に座った状態で楽器を吹く際、下半身によって体を支えることで安定して息を吐くことができるようになります。
具体的には下記のような方法で下半身の支えを作り出します。
椅子に座った状態から前傾姿勢になり立ち上がる動作をする
立ち上がる直前の下半身に力が入った状態の感覚を覚える
この時、同時に上半身から力が抜ける感覚も覚える
この時の状態を保ったまま楽器を演奏する
最後に
体験会の時間内だけでも前述のような大きな効果を感じることができましたし、今回学んだことは今後の研究にも大いに生かすことができそうです。
このような貴重な機会を頂きありがとうございました。
最後に、有吉先生のXアカウントをご紹介させて頂きます。