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移動販売トラック in 離島

島暮らしを始めたばかりの頃、時折、大音量で演歌を流して走る大型車がいることが少しだけ怖かった。
それが、週に1度の移動販売のトラック(通称、野菜トラック)だと知るまでは、当時住んでいたアパートからその音が聞こえると、また来た!とビビっていた。トラックは地区ごとに巡回してくれていて、来た合図に演歌を流して知らせてくれている。


移動販売のトラックがどこからやってきて、いつ頃からこの島に来てくれているのか分からないのだが、島にはスーパーが1軒しかないし、なかなかスーパーまで買い物に行けないお年寄りも多いだろうから、ありがたい存在であるのは確かだ。

この移動販売のトラックが、野菜トラックと島民の間で呼ばれている所以として、スーパーよりも新鮮で値段もそこそこな野菜が数多く並ぶことにある(野菜の写真を撮ればよかった)。
野菜トラックの方たちは威勢が良くて、八百屋の人!という感じがする(語彙力不足ですいません)。

私がこの野菜トラックを知ったのは、移住してから3ヶ月ほど経った頃。魚屋さんのお兄さんが釣りを教えてあげると言ってくれたので、波止場まで1人で夜道を歩いていた時に、遠くからでも煌々とした灯りが見え、本当に、大袈裟でなく夢を見ているのかと思った。
周りが真っ暗な田舎の道すがらで、人が行き交っている光景が不思議だったのだ。
その日、結局お兄さんと会うことはできなかったのだが、ホクホクとした気持ちで帰宅した。

それからと言うもの、ちょっと冒険した買い物をしたくなったら野菜トラックに行くことにしている。島のスーパーでは見かけない加工肉やヨーグルトやお菓子を手に取るのは小さな贅沢と冒険で楽しくもあるし、島で2人で行くところなんてほとんどないので、野菜トラックに2人で行くのもいい。

昔はパン屋の移動販売もあったらしく、それが思いのほか速いスピードで駆け抜けており、山の畑から見つけても間に合わなかったり、タイミングを見計らって待ち伏せしたりしていたというのを面白おかしく島民の方から聞いたことがあるが、今はこの野菜トラックだけである。


島で野菜は高級品で、正直スーパーに並ぶ野菜は新鮮度も劣っているし、島民の方々は生協を利用したり、自分で作る人も多い。
島民の方の作ったお野菜や柑橘は、港に安く並ぶのでたまに購入することもあるし、ありがたいことにお裾分け頂くことが多い。

島にいると、出来合いの食事は少ないが、無いなら無いなりにやっていくことは全然できるし、料理も上達する。人間は順応していく生き物なので、ある物で良しとしようとなるし、ある物で満たすことができると離島に来て学んだ。


【 おまけ 】

先日も茄子を大量に頂いたので、どうにか消費するために、茄子とチーズの肉巻きを作った。 
頂いても私たちだけで使いきれない時は、お礼品になったり、物々交換の品としてお野菜は活躍してくれる。


それに、私の住む離島では、ミカンは買うものではなく貰うもの。
今年もみかんの季節がやってきつつある。
先日、1番早い極早生ミカンを頂いて、久しぶりのミカンの美味しさに毎日感謝しつつ食べている。

頂くミカンたちは、寒くなるにつれてどんどん甘くなっていくので、今が1番酸味があって若い味。

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