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エッセイ

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私が思ったことをゆるく書き綴りました!
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2025年1月の記事一覧

石屋の息子

 我が家は古民家で、家の前には広く庭がある。コンクリートブロックで作られた曲がりくねった通路を挟んで、右手には菜園スペースが、左手には松の木と柿の木がある。柿の木は何もせずとも毎年、美味しい甘柿をたくさん実らせてくれるので、我が家のおやつになったり、手土産や物々交換の品になる。菜園スペースは今のところ、まだ幼い子供たちの遊び場となっていて、滑り台とトランポリンを置いている。

 息子が歩き出したの

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一等好きな食べ物

 チョコレート。マクドナルドのアップルパイとバーベキューソース。母の酢豚。マグロと海苔巻きとお寿司。フライドポテト。28年、変わらず好きな食べ物たちを思いのままに羅列してみた。

 それらを抜き去る形で、私の一等好きな食べ物に君臨したのが、ヤマザキのチップスターである。のり塩味もいいけれど、オーソドックスなうすしお味が不動の一位で、何も食べられなかった悪阻のときもチップスターのうすしお味なら食べら

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徒歩5分、韓国料理屋

 私がティーンエイジャーだった頃の数年、実家から徒歩5分のところにアットホームな韓国料理屋さんがあった。
 大学生の息子がいる韓国人のママが、ひとりで切り盛りしている店で、おめかししたトイプードルが看板犬として店内を闊歩していた。オレンジの裸電球の灯りが、店内を赤くオシャレに染めていて、当時、日本ではチャン・グンソクが大人気だったので、店内には彼のマッコリのCMのポスターがいくつか貼ってあった。

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年越したそば

 実家を出てから、年越しそばをちゃんと作ったり食べた経験がないと気づいた。そもそも、私が蕎麦を食べるのなんて、年越しそばの年に一度しかなくて、気づけば蕎麦をほぼ食べない族になってしまった。

 一応は28年という長い歳月をこの日本で過ごしてきたので、できそうな風習や文化ならば、是非やりたいという心持ちでいる。むしろ、やらなければという義務感にも似ている。
 どん兵衛だろうと冷凍だろうと、蕎麦を食べ

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