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ミラ ヒカリ
2024年12月28日 17:19
小学校の低学年の頃、とても、いや、異様にメガネに憧れていた。メガネをかけている子たちが羨ましかったし、ショッピングモールでは、メガネ屋の前を故意に何度も通り過ぎたりした。 私のメガネへの執着にも似た憧れは筋金入りで、母と100円ショップに行った際に、青いレンズのサングラスを懇願して買ってもらい、一時期、家ではそれをかけて生活していた。サングラスをかけたまま塗り絵をして、プリンセスのドレスを紫
2024年12月22日 13:40
近所に住むはすみちゃんは、お転婆娘というのを絵に描いたような活発な女の子だった。小学5年生にして、とても美人で垢抜けていて、スタイルも良く、それでいて突拍子のないことをやってのけたりするので、小学生ながらに私ははすみちゃんの友達であり、ファンでもあった。 はすみちゃんと仲良くなったのは、11歳の頃で、その頃の女子ときたら、生意気で、ちょっぴり意地悪で、女々しくもなってきているのに、はすみちゃ
2024年12月21日 14:48
この文章を書くまで、ずっとヴェポラップだと思っていた。幼稚園に通う前の、四歳以前の記憶がほとんどない私にあるのは、タンバリンのジングルを噛んで歯が浮いたことと、風邪を引いたときに加湿器が焚かれた湿度の高いむっとした温かさの、空気のぬるい部屋で、髪が汗ばんだ頰に張りついて、手足も嫌な感じに湿っていて、怠さで朦朧としながら、母が塗ってくれたヴェポラッブのプラスチック瓶を薄暗い部屋で眺めていたことく
2024年12月16日 00:10
幼い頃、高熱を出す度に見る夢があった。パジャマ姿の私は懸命に走っていて、後方には大きな岩壁とマグマがあり、ごつごつとした巨大な丸い岩が、私を押し潰そうと転がってきている。前方は全体的に白い幸福な背景であり、青い屋根の小さな白い家があり、紫陽花の横で若くして亡くなった母方の祖母と幼稚園の制服とベレー帽姿の男の子が手を繋いで、私に手を振るか手招きしていて、夢の中で懸命に走る自分を幽体離脱している自