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「コーヒーが好きなんですよね」


会社員として一つの仕事をするのではなく、副業(もはや複業)が当たり前になっている昨今、「一つのことを極める」ということが難しくなっている時代とも言えるのではないだろうか。

こんな風に思うのは、自分自身が「取捨選択をして一つのことを極める」ということができず、あれやこれに手を出して「選択と集中」の難しさがあったから。

色々なことにチャレンジできる環境にある自由があるというのは、別の角度から見たら贅沢なのかもしれない。

ただ、web世界に広がる目まぐるしい情報に圧倒されたり、他人の発言に左右され影響を受けてしまったり、自分がどうなりたいのか見失っていた。

そんな中で、自分なりに考えて行動して考えて行動してと何度もしてきた。行動すると、色々な人との対話のなかで自分の発言による化学反応のようなものが起こる。それは自分の内と環境を良くも悪くも変化させる。

私の場合、「珈琲が好きなんですよね」とよく発言していた。

当たり障りのない発言かもしれないが、「珈琲が好きなんですよね」って言っていたら、2023年9月、珈琲屋をオープンすることになった。

コーヒーノキに実る赤いチェリーの液体、珈琲の世界に踏み込もうと「選択して集中する」ことになったわけだ。

私はひとつの根拠だけではあまり決心せず、複数の根拠が揃ってやっと納得して動く方。「コーヒーが好きなんですよね」という発言をするまでにもいくつかのターニングポイントがあった。

羽田空港でカフェのバイト

東京都大田区、羽田空港近くに住んでいた学生時代。
長期休みの度に東南アジアやヨーロッパで国際ボランティアをしていた。バイトもしていたが、海外に行きたい若者のための奨学金制度が充実しており、財団や省庁の奨学金を取得して活動していた。
海外好きになって、長期休み以外でも日頃から海外の雰囲気に触れていたいと心のどこかで思っているのだろう。羽田空港でバイトをすることにした。時給がよかったのもある。

休学前に国内線、休学経て復学して国際線のカフェバイト。
塾講師やスーパーと短期イベントのレジ店員もしたけど、一番楽しかったと思ったのはカフェのバイトだった。

インドネシアの珈琲文化

長期休みでも1-2ヶ月しか海外で過ごせないから、長期で海外で過ごす経験がしたいなと、休学をしてインドネシアで1年間過ごした。中部ジャワ島の"田舎"でボランティアだったため地域に根付く人たちと日々関わっていたから超ローカルライフを満喫していたわけだ。そんな生活にはいつも珈琲があった(rokok=タバコもあった)。

インドネシア語でコーヒーはkopi(コピ)といい、「kopi time」と言えば休憩やチルアウトな時間となる。当時の活動仲間内での合言葉のようなもので、疲れたら「kopi time」って感じで使っていた。

ボランティア活動の休憩時間やイスラム教徒の多い地域だったから基本禁酒で夜ごはんあとにもkopi。屋台では粉を沈めて砂糖たっぷりのkopi、カフェではカフェラテやベトナムコーヒー。なんだこの時間楽しいじゃないかと、インドネシアの珈琲文化にどっぷり浸かっていた。

フルリモートワークのおうち時間

学生時代に終わりを告げ、社会に出た。

2021年に大学を卒業。当時コロナ大流行。
インドネシアでの就職も考えてエージェントに掛け合ったこともあったけど、結局日本で就職した。

気軽に海外に渡航できない環境になってしまい、それまで意識が海外と「外」に向いていたところを「内」へとシフトしていった時期。ヨガや瞑想を始めたのがこの頃だった。今は毎朝自主練するほどになったが、当時、友人に紹介してもらった年末断食道場で偶々知り合った人がヨガの先生で、その先生のおかげで自己を見つめ気づき、変わることのきっかけになった。人生観とか含めて師匠と思っている。

会社員はSE職でコロナもあり、入社早々からフルリモートワークだった。今だに通勤を知らない。そんなこんなで一人暮らしになったこともあり、ヨガや瞑想をして日々自分と向き合っていくなかで(その間脅迫性障害という精神病の診断も受けた。2月診断受けて症状は薬で抑えて7月に完治。)、「ドリップしたコーヒー飲みたい」と思って、先のヨガの先生がコーヒー好きでドリップコーヒーの始め方やコーヒー豆、おすすめの都内コーヒー屋さんとか色々教えてもらった。

ドリップコーヒー生活が始まった。

五感を意識的に使う機会を失いかけていたことに、ドリップコーヒーを始めて気づいて、コーヒーの香り(化学的にリラックス効果があると証明されている)を嗅いで、ドリップされるコーヒー粉の様子を見、コトコト滴るコーヒー液の音に耳を澄ませ、最後に味わいと、大袈裟に言えばドリップコーヒーで生き返った。

毎朝、ヨガと瞑想したら朝ごはん食べて、ドリップしたコーヒーを片手に始業するというのがルーティーンになった。

土日にはカフェやコーヒー屋さん巡りに勤しで、当時片瀬江ノ島駅最寄り、海岸まで徒歩2分圏内の立地だったので、鎌倉や湘南エリアはほぼほぼ行った感じはする。都内はまだ未開拓多め。

巡っていくとネルドリップ珈琲との出会いがあったり、会社員を辞めて愛媛県への地方移住やフリーランスとなってコーヒーから離れた時期にはやっぱりno coffee no lifeだなと思ったりとコーヒーはいつも自分の隣にあった。

「コーヒー好きなんですよね」と自己開示のちょっとした発言から珈琲屋さんオープンまでは下記noteに貼っておきます。

愛媛県鬼北町、四万十川支流の広見川沿いにある小さな珈琲屋HARSHA COFFEE。地球と人々の身体にハッピーな珈琲屋 [HARSHA COFFEE] 店主がお送りするコーヒー話です。海外の珈琲文化に触れ、五感を使う機会を失いかけていた時、珈琲に癒されたワタシが2023年9月から小さな珈琲屋さんを始めました。自分自身の珈琲の学びをアウトプットする場として、珈琲発信をしています。HARSHA COFFEE店主の視点で捉えたコーヒー話を通して、読者の皆さまの珈琲生活がより華やかになりますように。
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HARSHA COFFEE
営業日 木・金 11:00-18:00 / 土・日 9:00-17:00
テラス4席、駐車場あり
Instagram @harsha_coffee
HP www.harshacoffee.com


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