Uターン移住者や地域おこし協力隊ではなく、地方就職もしていない新参者が見い出した地方で”わたし”が存在する意味 —コーヒー屋を始める—
「使ってない店舗があるんよ」
7月中旬に初めてその店舗を訪れた時に、私はここで珈琲屋がやりたいと思った。
オーナーさんは以前この店舗でカフェ営業をしていたが、コロナ禍とあいまって経営は芳しくなくなった。そこで現在は駅前に店舗を移して営業をしている。
samcoupeとの出会いは、鬼北町のとある宿泊施設PRの仕事で周辺情報を探っていた時期だった。
もともとIターン移住の地域おこし協力隊やALT教師など、外から来た人にオープンな方で、一人で店舗に訪れた私のことを察知して、話しかけてくれたのが始まり。
そこから卓球大会やバレーボール大会などに誘われ汗水垂らして遊んでいた。
そんな風に運動したり話したり、食べたりする機会を重ねているうちに、6月に量り売り食堂(月一程度開催)と合わせたコラボ企画でコーヒーを販売させてもらった。
そして8月には使われていなかった店舗にて単発イベントをしようという話があがっていた。
が、その店舗に下見に行った時に私が一目惚れしてしまった。その場で、ここで珈琲屋をやらせてください!と言っていた。
とはいえ、しばらく使われていなかった店舗は整備が必要だった。
まずは8月のイベントに向けてと、急ピッチで整備がスタート。
ウッドデッキの跡地には砂利を敷き詰めることになった。できる限り費用はおさえたかったのもあったが、みんなで作る実感を大切にしたかった。
そこで考えたのが「アナログ版クラウドファンデング」。
整備のためにリターン付きの寄付を一口1000円から、知り合いや友人の中で、単発イベントやコーヒー屋をオープンした時に物理的に距離が近く来れる人を狙って、寄付を呼びかけた。LINEや口伝えに。
リターンには、単発イベントに来た場合にはコーヒー1杯とsamcoupeおにぎりを。オープン以降に来た場合にはコーヒー1杯とした。
オープンして”キレイ”な所に行くのだけでも別にいいと思うが、作る段階から関わりを持ってもらうことで、自分の出資したお金で整備されたことと、リターンもあるからこそ、その場所にいく動機付けにもなり、定着しやすいと考える。またコーヒーを出す側としてもそんな人たちに振る舞うと心地が良い。
そして迎えた8月単発イベントの日。
本当ならば、この日に町で広見川の川上り駅伝大会が開催されて大会を見に来た人たちのお立ち寄りスポットとする内容だったが、台風6号の影響で延期に。
それでも台風は去ったので、予定を空けていた人たちもいるだろうということでイベント自体は決行することにした。
有志メンバーも朝7時から来て会場設営をしたり、各出店者は仕込みに慌しい。
午前中は、大外れの天気予報で大雨で客数はまばら。それでも人がきたことに感動していた運営側だった。
午後からは天気が回復し、ランチタイムを過ぎると人がわらわらとやってきた。
ほぼたくさんの友人や知り合いで、昨年11月以降、移住してできた人との繋がりに、じんわりとくるものがあった。そしてコーヒーを美味しいと飲んでいただくことほど、嬉しいことはない。
「使われていなかった店舗を蘇らせたい」というオーナーさんの想いが一つ叶った瞬間に、携われたことに、Iターン移住で、地域おこし協力隊でも地方就職したわけでもない私が愛媛県に移住して、私なりなカタチで地方にいる役割のようなものを見出せて、移住してよかったと心底おもった。
確かにイベント準備期間中に、考え方や意見の違いはあった(地方に限った話ではない)。それは話し合って、お互いを尊重しあったからこそ当日を気持ちよく過ごせ、みんな笑顔に包まれることができた。
こうして文字に書くと綺麗事に見えるが、実際はものすごく泥臭い。
それでも一緒に手を取り合い協力するということは、お金があればパッとできることも、お金では買えない人の繋がりを武器にして、協力しやり遂げることほど、人々の心を揺さぶり幸を生み出すのではないかと思う。
8月20日に延期となった川上り駅伝大会の日にも、イベントを行います。ぜひこの機会にお立ち寄りください。
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Riverside Cafe
日時 8/20 9:00-16:00
場所 愛媛県鬼北町下大野14-5
内容 同日に開催される川上り駅伝大会の立ち寄りスポット
出店者
@samcoupe_cafe
@solana_mooncafe
@harsha_coffee
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(コーヒー屋のことは別に書きます)