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地方銀行の勘定系システム|北国編

石川県の北國銀行が、金融業界で注目されています。実際に視察に行かれたご関連の方も多いかと思います。
北國銀行は、2018年3月に日本マイクロソフトと日本ユニシスの表明した、パブリッククラウド(Azure)での勘定系稼働に向けてプロジェクトを推進しています。

また、ITを活用した先進的な取り組みを進めている地方銀行として、様々なメディアに取り上げられています。
現在(令和元年5月)、専務取締役(代表取締役)である 杖村 修司 氏を中心として推進してきた、様々なIT関連の取り組みへの業界の関心の高さが伺えます。

北國銀行の勘定系システム

北國銀行は、長年、日本IBMの勘定系システムのユーザーでした。現在も日本IBMユーザーである千葉銀行が主導する、TSUBASAプロジェクトにも参画しています。
勘定系システムに関して、北國銀行は、日本IBMへのフルアウトソーシングを実現した後、実際に直面した課題を解消するため、日本IBMとの契約内容を二度切り替えたという経緯も有ります。共同化やフルアウトソーシングでは課題となってしまう、開発スピードや独自性を重視したためです。


そのうえで、同様に「開発自営」(銀行で勘定系システムの開発体制を持ち、システム開発のグリップ力やスピードを重視する)スキームを提案していた、日本ユニシスのBankVisionを採用して、2015年1月に当初スケジュール通り稼働を実現しています。

様々なSIerやITベンダーとの取組み

北國銀行のIT関連のチャレンジは続いています。ワークフロー・グループウェアを、社員約20名のディサークルが展開する「POWER EGG」へと切り替え、地方銀行の先進的な取り組みとして、導入事例の公表を行うとともに、多くの視察受け入れも実施しています。

また、銀行内でのペーパーレスを更に促進して、働き方改革を進める事例としても、Surfaceの地域金融での活用内容を公表しています。

「本丸」勘定系システムをパブリッククラウドへ移行

Azureでの勘定系システム稼働は、2021年と予定されています。実際には、現行稼働しているBankVisionをパブリッククラウドへ移行する案件ですので、基盤面の課題がクリアできれば、北國銀行としては積極的に進めていく意向だと想定されます。

(2017年時点で明らかな課題については、日本ユニシス技報2017年9月発刊 Vol.37 No.2 通巻133号「オープン勘定系の10年」に記載が有ります。)
https://www.unisys.co.jp/tec_info/tr133/133abs.htm#normal-paper-3

引用させて頂いた記事のとおり、現行のBankVisionの本番稼働が2015年1月であり、北國銀行が現行利用しているデータサーバーの保守や償却の期間もふまえて、既に実施した投資が一番無駄にならないような稼働時期を検討しているものと思います。その様な点も含めて、収益環境が厳しいと言われる地方銀行のなかで、着目されるプロジェクトとなっています。


個人的には、地方銀行で現行稼働している勘定系システムについては、物理的にも堅牢なデータセンターを利用しており、免震や制震の対策もかなり取り入れられているため、それらの資産も活かして、パブリッククラウドは災害対応に利用するのが良いのではと考えています。全銀RCをはじめとしたシステム接続や、多くのサブシステムとの連携とそのサーバーの更改時期を考慮に入れると、その方が投資効率が良いのではと思っています。
本番は既存のデータセンターを利用していき、万が一、そのデータセンターが稼働出来ないような大規模災害、障害の際のみ、パブリッククラウドに置いていた災対システムを稼働するというものです。
データの同期の要件を決めて実装することが出来れば、必要な時に必要なリソースが利用可能という、パブリッククラウドの特性を大きく活かすことが出来ます。

余談

勘定系システム営業として福岡に住んでいた際には、データセンターや開発現場の視察をしたいというご要望を頂くことが有りました。そのお話を頂く際には、他の候補が有るのでは?とも思ってしまっていましたが、同じ出張であれば、福岡や金沢に引き付けられてしまう気持ちは良く理解出来るところです。

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