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AV出たら「表現の自由」が机上の空論じゃなくなった話し

わたしがAV女優を始めてから初めての国政選挙がありました。

2022年8月に事務所に入ったので、ちょうど前回の参議院選挙の直後でした。

今回、少し自分でも驚いたのが、「表現の自由」に関する候補者の意識調査を吟味したことでした。

そして、なるべく規制に懐疑的/慎重/否定的な候補者を見つけると安心し、自分の選挙区の候補者はどうかな、なんて調べました。

「表現の自由」なんて、一般人だったわたしにとっては、机上の空論、学校の授業でチラッと勉強するやつ、何それ美味しいの状態でした。

でも、AV女優になった今は、超自分ごとなんですよね。

だって、出演する時は、家族や友人にバレるかもしれません、くらいしか懸念事項として提示されなかったし、猥褻物頒布罪がこんなにも曖昧で、たった一つの裁判の判断次第で、私も罪に問われるかもしれないなんて思ってなかったからです。

え、モザイクしてればいいんじゃないの?「適正AV」ならいいんじゃないの?第一第二プロダクションに所属して、大手レーベルや大手レーベル傘下の作品なら大丈夫なんじゃないの?AV新法守ってるなら大丈夫なんじゃないの?

いや〜実は全くそんなことないんですよね〜(白目)

無修正がダメでモザイク処理あればいいみたいなのって、法律がそう言ってるからじゃないんですよね。

刑法第175条、わいせつ物頒布罪の条文はこんな感じです:

1. わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の拘禁刑若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は拘禁刑及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2. 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

刑法175条

え?!それだけ?!

「わいせつ物」の定義とか構成要件とかないの?

「表現の自由」とかいう「民主主義の礎」とか「基本的人権」みたいなめっちゃ大事で慎重に扱わないといけないって言われてるやつを、いくらでも制限出来ちゃう文言じゃない?

だって、「わいせつ」なら「わいせつ物」なんでしょ?

なんで、無修正は「わいせつ」なのに、性器にモザイクかかってれば「わいせつ」じゃなくなるの?!

意味わからない…

わたしの出るAVはちゃんとしてるから大丈夫!とか思ってたけど、調べれば調べるほど、考えれば考えるほど、ギリギリを攻めた場所にわたしは来てしまったんだなぁ、と思います。

親にバレるかもとか友達にバレるかもとかも考えるの大事だけど、「判例とか世論によって出演したのが世に出るだけで犯罪者なるけどええんか?」って知っとくのも大事じゃない???って思ったり。

いや、後悔はないんですけど、出てしまったので、出てしまったなりに自分のことや、AV作品が「わいせつ物」なのかどうかが気になるんですよね。

普通の言葉の意味的に考えたら、AVって猥褻ですよね。

というか、猥褻であることもAVの要素の一つなのでは、というくらいには猥褻だとわたしは思います。

だって、カメラの前でセックスしてるやん!!!!

もろ、猥褻じゃん!!!!

というか、いわゆる猥褻じゃん!!!!

まあ、なので、わたしはデビューする前から常々思っていた

Sex is so overrated (セックスって過大評価/特別扱いされすぎ〜)

オール後にラーメンを啜る若かりし頃のわたし

をAVを通じてだったり、文章を通じて色んな人に伝えようとしているんですよね。

セックスって別に日常の一部やん。

もしくは、好きな人だけ好きな人同志で楽しめばいい余暇じゃん。

ゲームとかスポーツと変わらんやん。

てか、みんなまんこの中で育ったやん。

なんで、こんなに、妊娠出産こども家族とかと「セックス」って分断されてるのー!

なんで、こんなに、三大欲求とか過大評価されてんのー!

食べる寝るはしないと死ぬけど、セックスしなくても死なないやん。

セックスに関連することを特別扱いして、何が楽しいのー!

そんな偉大じゃないし、セックス。

別に人工授精でもこどもは産まれるし、最早人類の存続に必要ないし。

マジで余暇なんよ。

他の余暇と変わらんのよ!

みたいな気持ちで撮影もするし、普段も探してるから、「水谷梨明日はご飯を食べるくらい当たり前のことかのように純粋に罪悪感なくセックスをする」なんて批評してくれる方もいて、少しは伝わってるのかな、と思っています。

特段卑猥なことでも、みるに耐えないほど猥褻なことでも、そんなにムキになって隠さなくても大丈夫だよー!って伝えたいから。

まあ、今回のnoteの主題に戻りますと、

確かに、AV出演というのは社会的なリスクをはらむ活動であり、慎重に出演するかどうか決めるべきであるというのは、いくら常識よりも自分の感性や思想を行動指針として優先させるわたしだって分かってました。

でも、その「社会的なリスク」が国家による規制に起因するだとは思わなかったんですよ。「先進国」で、「民主主義国家」で、「憲法」で「基本的人権」や「精神的自由」が担保されてる国に住んでるのに、こんなにも危うい立場なのが、国家のせいだなんて。

ふつうにエロ嫌いな人達から嫌がらせされるくらいだと思っていました。

甘かったぜ!

モザイク処理済みのAVも「わいせつ物」になったら、ガチ犯罪者になる私を今後も宜しくお願いします。

「表現の自由」がとてもリアルで、なんと選挙の時に気にするようなイシューになったのは、これもAV女優ならではの悩みなのかなぁ。

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