細菌多様性② 多様性を発見したメタゲノム解析
細菌の多様性を知るための鍵となった手法が,メタゲノム解析 です.
メタゲノム解析は,海水や土壌などの環境中から取得したDNAの配列を解読し,データベースに記録されている膨大なDNA配列の情報と照らし合わせることで,その環境に生息する生物の種類を解き明かす手法です.
メタゲノム解析のフローを簡単に示すと以下のようになります.
1.まず,環境中から取得したDNAを断片化して,その配列を解読します.このように解読された短いDNA配列を生リード(raw read)と呼びます.
2.次に,生リードの中で,ある程度の長さの全く同じ配列を探し,そこをのりしろとして,生リード同士をつなぎ合わせます(assemble).
この連結されて長くなったDNA配列をコンティグ(contig)と呼びます.
3.最後に,DNA配列の傾向の類似性から,同じ生物由来と思われるコンティグをグループ化し,MAG(Metagenome Assembled Genome)を作製します.この工程をビニングと呼びます.MAGにはその環境に生息する膨大な数の微生物の遺伝子情報が含まれています.
生リードの長さは配列解読を行う装置に依存し,150塩基対程度のショートリードと10,000塩基対を超えるロングリードがあります.
ロングリード解析を用いると簡単に長いコンティグを得ることが可能である一方,ショートリード解析と比べ費用が数倍かかります.
メタゲノム解析手法の発展により,様々な環境に生息する細菌の種類の理解が進んだことはもちろん,データベースに登録されていない大量のDNA配列が発見され,未知の微生物が多数いることが分かってきました.
環境ゲノム解析に関してより詳しく学ばれたい方には,以下の記事をオススメします.
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/rikusui/85/1/85_1/_pdf)
(細菌多様性③に続く)
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