(実録)筑波大学からドイツ留学に行ってみた
大変久しぶりにこのアカウントを開いています。
時は過ぎ、2年生になり、3年生になり、教育実習を終え、1年間のドイツ留学へ行き、とうとう4年生(5回生)になりました。
いよいよ最終学年ということで、たーんと時間がある……と思いきやそうでもないのですが、これまでの生活を振り返る日々です。
2022年夏から2023年夏までの1年間、私は交換留学の制度を利用して、ドイツ・ボン大学に滞在していました。
コロナ禍も明け、これから留学に行くみなさんから質問を受ける機会が度々あった(ビザとか、お金とか、家とか)ので、そんなあれこれについて少しまとめてみようと思います。
あくまで私自身の話ですし、アドバイスをするなんていうのはおこがましい立場ですが、少しでも参考になれば嬉しいです。
出発までのこと
スケジュール
はじめに、留学までのスケジュールを簡単に書いてみます。
出発のおおよそ1年ほど前、私の場合は2年生の秋学期に大学が実施する交換留学の公募に書類を提出しました。ここまでに、英語・その他言語の必要スコアを満たしている必要があります。
書類と面接審査を通過し、無事留学に行けることが決まったあとは、奨学金の準備に取り掛かりました。
私は筑波大学が独自に実施する「はばたけ!筑大生」から奨学金をいただき、渡航しました。奨学金の受け取りは、毎学期が終わった後になります(2022年度当時)。留学開始時は自分自身で資金を用意しなければならない点に、注意が必要です。
荷物の準備
私は、23kgのスーツケース×2を持って行きました。
人によってスーツケース1個だったり2個だったり、もしくは別でダンボールを郵送していたりと、荷物の量には開きがあると思います。
が、ドイツの場合、大抵のものは現地調達が可能です。炊飯器など、日本にしか売ってないのでは?と思われるものも結構簡単に買えます。むしろ変圧器なんかを使う必要がないので、ドイツで買った方が便利かも。
なので、荷物はできる限り少なく、のポリシーで準備してもいいような気がします。何より、荷物を増やすと帰国時にやっかいなことになりがち。
我が家では母が引越しの玄人なので、日本から持参するものに関しては、それはそれはもういろんなアドバイスを受けました。
盲点になりそうなものを中心に書いておくと、以下のものは個人的におすすめです。
・納豆ふりかけ
初手それ?という感じですが、ドイツでは納豆は手に入らない&手に入っても冷凍かつ高級です。至って真剣です。
ふりかけなのにめちゃめちゃ納豆なので、納豆好きのみなさんにおすすめです。
・使い捨てカイロ
ドイツの冬は、寒い!というか厳しい!
納豆と同じく、カイロも売ってないことはないですが、高級品なので寒がりのみなさんは持参しましょう。
・スキンケア用品
これは完全に好みの問題だと思います。が、肌が弱いなどの事情があると、自分に合った商品を見つけるにはかなーり時間がかかるような気がします。
夏の日差しはまあまあ厳しいですし、冬も乾燥に悩まされます。お気に入りの化粧水や乳液、日焼け止めがあれば、荷物に入れていくとよいかも。
・肌着類
エアリズムとかヒートテックとか。現在ベルリンやケルンをはじめとしてユニクロは国内に10店舗ある&オンラインショッピングも可能ですが、商品の販売価格は日本の1.5倍くらい(たぶん)なので、なかなか手が伸びづらいところがあります。持っている分は持って行ったほうがいいかも。
ちなみに、無印良品(MUJI)もたくさんあるので、買おうと思えばなんでも買えます。すごい。
出発から1ヶ月くらいのこと
フライト
フライトの準備に関しては、チケットは早めに取るのがおすすめ、くらいしか言えることはないかも(おい)。
筑波大学の奨学金を受給する人は、どこかのタイミングで原本を提出する必要があるので、チケットは捨てずにとっておきましょう。
空港から滞在先までは、おそらくICE(ドイツの新幹線)を利用して移動する人が多いと思います。
ドイツの駅はエスカレーター、エレベーターがあまりないケースもあるほか、街中に石畳が敷かれていることも多いです。ひとりで運ぶのが無理そうなときは、無理をせず、周りの人に助けてもらいましょう。
ICEの車内には、大抵の場合スーツケースなど大きな荷物を置ける荷棚があります。目を離したままにしないように注意は要りますが、荷物を置く場所には困らないはずです!
引っ越し
ボン大学の場合、留学手続きの一環で寮に入りたいかどうかの希望を出すことができました。
のちのち聞いた話では、同じ出身地の学生はなんとなく同じ寮に固められているようです。頼れる仲間、大事。
ドイツの寮は、下記どちらかの形態を取ることが多いです。
・Einzelzimmer:生活の大体が個室の中で完了する、シングルルーム。私の部屋はこちらで、洗濯以外の要素は大抵部屋の中に備わっていました。
・WG:複数人でひとつの家/フロアをシェアするような形式。個室がありつつ、共有のキッチンやバスルーム、リビングルームが設けられています。
新学期だと、事前に入居手続きができる時間と曜日が通知されているケースが多いはずなので、その時間内に事務所に行きましょう。
寮に着いたら、Hausmeister(管理人さん)のもとで手続きをし、鍵をもらいます。
たぶん、かなりの寮にWhatsApp(ドイツで言うLINEの立ち位置)のチャットグループがあり、掲示板にQRコードが貼ってあったりします。入っておくとなにかと便利です。
・引っ越すから、家具とか食器とか売るよー
・右の洗濯機使ってる人、洗濯終わってるから取りにきてー
・部屋から締め出された(ドイツの部屋は大体オートロック)からタスケテー
・△階の人、うるさいから静かにしてー
などなど、毎日いろんなやりとりが交わされます。結構な頻度で喧嘩や言い合いも勃発していましたが、それもまた、日常。
住民登録
入居の手続きが終わった後に必要なのが、市役所でのAnmeldung(住民登録)です。
引っ越ししてから、2週間以内に手続きを取ることが求められます。
ボンではオンラインで市役所訪問の予約を取ることができますが、大抵、かなり先まで枠が埋まっていることが多いです。
しかし、キャンセルが出てすぐ先の予約を取れることもあるので、定期的にホームページをチェックするのがおすすめです。
必要な書類など、詳しくは各自治体のホームページをご覧ください。
ボンの住民登録情報(ENG)↓
ビザの手続き
日本のパスポートを持っている人の場合、出国前に行う手続きは特になく、入国後にAusländeramt(外国人局)に滞在許可を申請することになります。
私が下手に説明してもところどころに穴が空いてしまいそうなので、ざっとだけ書いておきますね。詳しくは大使館・総領事館または各自治体のホームページを見てもらうのが安心かなーと思います。
日本のパスポートのみでドイツに滞在できるのは90日間なので、基本的には90日以内に滞在許可の手続きを完了しなければ!ということになります。
ボンのホームページによれば、"electronic residence title" (eAT、直訳すると電子滞在許可?、いわゆるわたしたちが想像する「ビザのカード」にあたります)を取得するプロセスは以下の通りです。
ホームページにも記載の通り、地域にもよるとは思いますが外国人局は混雑することも多い場所で、オンラインフォーム提出からアポイントメントの確定までにはかなり時間がかかることもあるので、注意、って言っても難しいけど、が必要です。
ボンの滞在許可申請情報(ENG)↓
携帯電話の契約
来た当初は日本で契約していた通信会社のデータローミングや、使い捨てのSIMカードを使用する方が多いのではないでしょうか。
私も、到着当初はドコモが提供するahamoのサービスを使っていました。
海外でのデータ通信開始からおおよそ2週間、追加料金なしで利用することができるので、留学に行く人はもちろん、旅行好きな方にもおすすめです。ぜんぜん回し者ではない。笑
ahamoのホームページ↓
その後は、ドイツの大手スーパー、ALDIが提供しているALDI TALKのSIMカードを使うことにしました。
ドイツでは料金先払いのプリペイドSIMカードが主流で、ALDI TALKでは1ヶ月(4週間)ごとの契約を行うことができます。
2024年7月現在、20GB/4週間で13.99€のプラン(Kombi-Paket M)があるようです。EU内でのデータローミングも込みなので、かなり快適に携帯を使うことができました(また回し者感)。
正直なところ、手続きのプロセスははっきり覚えていないのですが、当時は次のような流れだったと記憶しています。
アプリ内言語がドイツ語のみなので若干面食らうかもしれませんが、ビデオコールの実施時はドイツ語か英語かを選べます。ちなみに、以上はスマホで登録を行う場合ですが、PCのブラウザや店舗でも初期設定は可能なようです。
初期設定以外の操作には、ALDI TALKという別のアプリを使います。このアプリは、iPhoneの場合App Storeの国と地域の設定をドイツにしないとダウンロードできません。
初月の料金はスターターパック内に含まれている(めちゃお得)のですが、2ヶ月目以降は別途使用料を支払う必要があります。
これについては、ALDIのレジ横でプリペイドカードを購入しシリアルコードをアプリに入力する形で残高を追加することもできますし、銀行口座からの自動引き落としを選ぶこともできます。
ALDI TALK以外にも、街中で購入できるプリペイドSIMカードはたくさんあるので、ぜひ調べてみてください。
ALDI TALKのホームページ(DEU)↓
WiFi環境の整備
携帯の話をしたので、ついでにWiFiのことも簡単に書いておこうと思います。
私の寮では、すでに光回線は整備されていて、規定を満たすWiFiルーターとケーブルさえ手に入れれば、いつでもWiFiが使えるようになっていました。
ルーターは電気屋さんやAmazonでも購入することができますが、先に書いた寮のWhatsAppグループで売りに出されがちです。節約したい人はそちらで手に入れてもいいかも。
考えておいたほうがよさそうなこと
留年せずに留学できるの?
筑波大学、というか私がいた学群の場合、答えはイエスでもあり、ノーでもあるような気がします。
どういうことかというと、私の学群の場合、だいぶ無理をすれば卒業できたんじゃないかと思います。制度上、交換留学での1年間というのは筑波大学の在籍期間に算入されるからです。
私の場合壁となったのは、必修科目の存在でした。
教育学類では、3年次に「教育学実践演習」(通年科目、卒業研究につながるいわゆるゼミ)の単位を取得したのち、4年次で「卒業研究」を履修します。そして、この2科目は、原則同時履修はできないようです。
私は3年生の夏から4年生の夏まで留学に行っていたため、「教育学実践演習」履修を途中でストップし、まるまる1年卒業を遅らせるという選択をしました。
ちらっと聞いた話では、留学に行きつつ筑波大学での科目の履修を続け、ストレートで卒業する、という人もいるそうです。実際に卒業を遅らせてみて、よかったことと微妙だったことを書いてみます。
◯いいところ
・時間的な余裕
これはもう、間違いなく。留学生活そのものに集中して、現地での勉強に時間を割くことができるのは、最大のメリットといえると思います。
・就活や院試準備がしやすい
ひとつ上と重なりますが、私の感触では、留学をしつつ進路への準備をするには相当なキャパシティが必要な気がします。
結果として、私は留学の後半から就活をはじめたのですが、わー、自分何しに留学しにきたんだっけ、みたいな状況に陥ることもありました。1日中PCの前に座って、エントリーシートだけ書いて、みたいな。
理想論といえばそれまでですが、留学時は現地での活動に専念できればそれ以上のことはないのかな、とも。
◯微妙なところ
・浦島太郎状態になる
いちど筑波大学での勉強をストップし、ドイツ語その他に時間を充てていたこともあり、帰ってきてもしばらく、勉強の感覚が取り戻せないところはありました。日本語で長い文章書くのも久々、みたいな。
・友達が卒業してしまう
シンプルに、さみしい。あと、1年先を行っている(進路を決め、卒業論文にとりかかっている)同期を見て、謎に焦りました。
個々人の事情が大きく関係すると思うので、簡単にはいえませんが、「留学を自分の大学生活にどう組み込むか」は一考してみるといいと思います。
お金のあれこれ、どうしてた?
お金の話が出たので、現地での生活費のやりくりや毎月どのくらいのお金を使っていたかについても、簡単に書いておきたいと思います。
◯現地での生活費のやりくり
ドイツでの支払いには、基本的にドイツのネットバンクN26の口座を利用していました。
↓N26のホームページ(ENG)
N26での口座開設については、詳しく書かれている方がたくさんいらっしゃるため割愛しますが、
・基本的にはドイツ国内に住所があれば登録できる
・ドイツの銀行でかかりがちな口座維持費がかからない
・デフォルトでApple PayやGoogle Payで使えるバーチャルデビットカードが付いてくる
あたりが主なメリットかと思います。
送金の際に求められるIBAN(国際銀行口座番号)もアプリから確認することができます。
ただし、街中に支店を持っておらず、問い合わせは電話やメールを通じてということになります。そのため、周りにはその辺の利便性を重視して物理的な店舗を持つDeutsche BankやSparkasseで口座を作っている人も多かったです。
◯閉鎖口座
ドイツ留学を準備していると一度は行き当たるであろう単語、「閉鎖口座」。
ドイツ語では、Sperrkontoといいます。
これは、学生ビザを申請する際に、自身がドイツ滞在中の十分な資金力を持っていることを示す方法のひとつです。
学生ビザでの滞在を考えた際、入国者は1か月に992.00ユーロ以上(2024年9月1日以降の規定額、2024年8月現在)の資金を有している必要があります。
奨学金支給額がこれを満たす場合、ドイツ語や英語で発行された奨学金支給証明書の提出でもOKとされていますが、それ以外の場合にはこの「閉鎖口座」を開設し、事前に規定額を入金することになります。
たとえば、10ヶ月ドイツに滞在する予定の場合、992.00ユーロ×10ヶ月=9920.00ユーロの入金が必要です。
ドイツ外務省による閉鎖口座の解説(ENG)↓
閉鎖口座をどこの銀行で開設するかは、学生自身が自由に選ぶことができます。私自身は、Expatrioという代理店を利用しました。
Expatrioのホームページ(ENG)↓
ドイツに行く交換留学生にちょうどいい、
・閉鎖口座
・海外旅行保険(到着直後用)
・公的 or 民間健康保険(こちらもビザ申請には必須の要素)
すべてを一括で契約することができ、かつ、ポータルサイトから各種必要書類をダウンロードすることができます。
とにかく、なるべく手間を減らしたい!という人にはおすすめできると思います。
ホームページを見たところ、普通口座の開設や住まい探しのためのサイトへのアクセスなどもサービスに含まれているようです。
閉鎖口座の使い方ですが、この口座から自由に出入金をすることはできません。毎月「お給料が振り込まれる」ようなイメージです。
まず、閉鎖口座開設時に、その口座からお金を振り込むための普通口座を指定します。
すると、毎月決まった日に、決まった金額(月規定額、2024年9月1日以降の場合992.00ユーロ)がその普通口座に自動的に振り込まれます。
閉鎖口座はあくまでドイツ滞在時の基本的な経済力を保証するためのものです。そのため、毎月決まった額以上を引き出せないような仕組みになっています。
少しだけ、おわりに
現地での食生活とか、交通のこととか、他にも書きたいことはたくさんあるのですが、いったん今回はここまでにしておきます。また、気が向いたら書きます。気が向くといいなー(ひとごと)。
実は、留学生活は私にとって、そこまで「楽しい経験」ではありませんでした。
ドイツの冬は厳しい!みたいなことを冒頭に少しだけ書いたのですが、私は留学して数ヶ月が経ったころ、真冬の時期に現地で新型コロナに罹患してしまいました。
コロナ自体はほどなく陰性になったのですが、留学を開始してはじめの数ヶ月で予定を入れすぎていたこと?冬になり日照時間が少なくウィンターブルーっぽくなっていたこと?もしくは後遺症?が重なってか、その後の春休み期間、体力も極限まで落ち「外に出たくなーい」状態になっていました。せっかく留学させてもらっているのに、と自分を責めまくっていました。
そんなとき見つけて、とても励まされた文章があります。
九州大学のキャンパスライフ・健康支援センターがこれから留学に行く学生向けに出しているリーフレットで、全文はこちらから読めます↓
https://www.chc.kyushu-u.ac.jp/~webpage/publication/img/12.pdf
ほんとうにこの通りで、きっと留学生活、人によって色々なことがあります。楽しいことも、苦しいことも、それでいて人にはなかなか伝わらないことも、たくさんあると思います。
私はまさに、「留学生活で2ヶ月寝てた人」で。笑
留学って、なんだか大それたことをしているような気持ちになって(実際大それたことではありますが)、ついつい気を張りすぎてしまうこともあると思います。
ただ、こんな人もいます。こんな人もいるんだなー、くらいで、これから留学に行くみなさんが無理せず毎日を楽しめれば、それほど嬉しいことはありません。
と、なんだかちょっと暗い締め方になってしまったかも。ごめんなさい。笑
みなさんがハッピーでラブリーでキュートな留学生活を送れることを、心から願っています!
何か力になれることがあれば、細かなことでも、なんでも連絡やコメントをください。
それでは、またお会いしましょう!Tschüss <3