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成長の経験則は

日付が変わる頃、ゆったりと湯船に浸かりぼーとしていたら
近くで声が聞こえました。

すわ、とうとう心霊現象きたか!
と身が固まる。
じっと耳を傾けていると何かしら浮かれた鼻歌のように聞こえます。
暫くすると隣のアパートの駐車場から
車のエンジンをかける音がし、早々に車が走り出しました。

なんだよこんな時間に鼻歌なんて歌いやがって!
ビビったこっちが馬鹿みたいじぁないか!
さては女に逢いにいくんだなこのやろー

そうは思いましたが
心の声を抑えようと冷めていく湯船に鼻まで浸かり
とある日のことを思い出していました。

あの日の私は久しぶりの逢引に、うれしさで鼻歌をくちずさみ、軽くステップを踏んだら足首をグギッてしまいました。

そればかりか、向かいに行った彼女に
大げさに足を痛がり、逢える嬉しさに早足をし、グギッてしまったと気を引き、
心配する彼女に甘えるという愚行を犯した過去を思い出しました。

そうか。こんな夜に想い人に逢えるなら
鼻歌も出るわな!
こうして人は大人になっていくのであります。



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