【ワーママのキャリア】係長昇進を戦略的に遅らせることにした
私は民間企業から公務員に転職し、結婚出産を経て現在はフルタイムで働くワーキングマザーだ。
ただでさえ人員の少ない職場にワーキングマザーは私のみ。育休は1年も取っていないし、時短勤務も1年で切り上げた。マミートラック的な待遇とは無縁の立場で粛々と働いてきた私だったが、この度早くて来年度からの係長昇進が決まった。
だが、私の心は決まっている。
このタイミングでは昇進しない。
昇進は少なくとも、子どもの小学校1年生問題(いわゆる「小1の壁」というやつだ)が解決してからにする。
若干遠回りだけれど、長く仕事を続けるために今は無理をするタイミングではない。そう判断した。
理由①収入増より、小1の壁問題
昇任の最大の動機は収入面。こうはっきりと公言する職員を否定するつもりはないし、勿論お金はあるに越したことはない。
ただ、我が家は共働きで現状2馬力。子どもの保育料はようやく無償になり、しばらくはこの恩恵を享受できる。来年から無理やり収入アップする必要はない。
それよりも、最初から役職を背負わされた状態で小1の壁に対応できるか、こちらのリスクがのしかかる。
1. 通勤に片道約1時間
通学する小学校の学童の状況次第では、私の現在の勤務体系を見直さないといけなくなるかもしれない。
となると、役職持ちの立場で柔軟に動けるかは不安が残る。
2. 職場のテレワーク制度がまだまだ導入途上
数年以内に制度が整備されたとて、担当業務に馴染まず使いたくても使えない、そんな可能性だってある。現所属はまさにそんな感じだし、次回の異動先は週一でも良いからテレワークが出来る部署を希望。
小1の壁を突破できずに、仕事を辞めてしまうことは避けたい。であれば、小1の壁を前に働き方を緩められる余力を残しておきたい。
理由②年齢の割に職歴が浅い
既にアラフォーの年齢ながら、前職で民間企業を挟んでいることもあり、私は言うほど今の職場でキャリアを積めていない。
転職後、私がこれまでに経験したのはわずか2部署。
しかも生活保護のケースワーカーなど、従事したのは極端な業務内容のものばかり。身につけたスキルが異動先で転用できるかどうかは非常に怪しい。
せっかく今年AFP資格を取得したんだし、次の部署はまだヒラの職員として実務経験を積んでいても良いかなあというのが正直な思いだ。
ところで今の私は、そこそこ恵まれた職場環境に身を置いていると思う。
ワーキングマザーゆえの肩身の狭さはあるが、好きな時にコーヒーが飲め、カスタマーハラスメントのリスクは少なく、職場の人間関係も良好だ。
繁忙期は残業や休日出勤も覚悟のハードな日々が続く。けれどもそこさえ乗り切れれば何とかなる、と思えるのは、在籍年数の長さゆえの経験が成せる技なのだろう。
私は今の部署に長く居過ぎている。ゼロスタートとなる次の部署ではきっと大変な思いをすることになる。
今の業務内容の詳細は避けるが、官房的な業務内容ということもあり、何もしなくても実力以上に見られがち。自分に大した実力も備わっていないのに、無駄に箔がついてしまってはお互いに不幸だ。
「デキる若手係長」の下駄を(勝手に)履かされたがために異動後まもなく退職した、かつてお世話になった先輩のことを思い出す。
だから今、異動後のキャリアに加えて昇任後のキャリアまで焦って背負う必要はない。階段は一つずつ、登っていく。
早期復職を選んでこれまで無理ばかりしてきたからこそ、余計に今はそう思う。
ヒラで逃げ切れるとは思っていないからこそ、今は必要な準備期間
最近読んだ本の話を少し挟ませていただく。
この本でも触れられており、かつ私も転職して驚いたことだったが、公務員の世界では「定年まで主任」というキャリアルートが存在する。
本の中で「滞留する女性たち」という表現が使われるこの「主任」は、実に女性地方公務員の80%を占めているという。
私の体感としても、公務員職場で結婚を理由に退職する女性職員はあまり見かけない(女性管理職が多いかというと話はまた別だが…)。
一方で、公務員の人員は年々減る一方。定年まで主任のまま逃げ切ろうなんて、甘い考えは今後は持たない方が良い気がする。第一、何故子育て世代ど真ん中の私に昇進のお声が掛かるのか、そこからしてお察しだろう。
新聞のインタビュー記事で、著者の佐藤直子さんはこのようなことを話していた。
断らない能力。これだよなあと。
はじめから自分で限界を決めて、それ以外全てを断る。
そんな姿を自分の子どもに見せたいだろうか?
必要以上に背伸びしなくても良いけれど、少しはかっこ良いところを見せたい。母も母で頑張ってるんだよ、というメッセージを伝えたい。
だから、絶対に昇進は嫌です、と言うつもりはない。
だけど、実力不足は否めない。
昇進する男性の同期を横目に見つつ、(時に育児を言い訳に使いながら)焦らずにじっくりと職務経験を積む、今はそんな準備期間と割り切ろう。
それが長いようで短いかもしれない、私の係長昇進までの日々の過ごし方だ。