どうかこの夜が

画像1 土曜は雨戸を殴る雨音で目が覚めた。じきに雨は上がったけれど、家にこもるほかない。雨は降らない。風も強くならない。でも、テレビをつけるたび、各地の河川氾濫による痛ましい状況が映し出されている。何してんねん、台風。さっさと雲を巻きとって通り過ぎぃや。夕方キッチンに立つと、東の窓が紅く染まっていた。西の窓に駆けよると、のろのろ台風だからこその粒だった筋状の雲が茜色に煌めいている。刻々と変わる空の色に見とれていられるのは、この足もとが濁流ではないからだ。切に祈る。どうかこの夜が誰のうえにも優しくありますように。

ここまで読んでくれたんですね! ありがとう!