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Shake Hands


たとえば君が道に迷い 
途方に暮れて立ちすくんだ時
僕が少しだけ手を貸そう
君に輝きが戻るまで 
一緒に空を見上げていよう

日々の暮らしを抱えこんで 
僕の片手は一杯だけど
いつだって あけてある 
もう片方の手は君のために

Shake Hands 握手をしよう 
抱きしめることはできなくても
Shake Hands ここにいるよ 
君のことを見ているよ

たとえば 君が疲れ果てて 
自信を失くして落ちこんだ時は
僕が少しだけ手を貸そう
いつもの笑顔が戻るまで 
ジョークを並べておどけていよう

日々の暮らしを抱えこんで 
僕の片手は一杯だけど
いつだって あけてある 
もう片方の手は君のために

Shake Hands 握手をしよう 
添い遂げることはできなくても
Shake Hands ここにいるよ 
君の隣に立っているよ

たとえば 君が遠くにいて 
ひとりの重さに耐えている時は
僕が思い切り声を出そう
君の心に届くまで 
大きな声で歌っていよう

Shake Hands 握手をしよう 
抱きしめることはできなくても
Shake Hands ここにいるよ 
君のことを見ているよ

*「ちょっと控えめなラブソング」というコンセプトで作った歌です。サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋(Bridge of Troubled Water)」の歌詞に「Like a bridge over troubled water, I will lay me down (濁流に架ける橋のように、僕がこの身を横たえよう)」というフレーズがあり、こんなラブソングを作ってみたいという気持ちは昔からあったのですが、いざ作ってみると、濁流に身を投げ出すどころか、片手を差し出すのが精一杯、という歌になってしまいました(笑)。

この曲ではAメロからBメロへ移る際に転調を入れています。AメロはDメジャー(ニ長調)、BメロはFメジャー(ヘ長調)、サビで再びDメジャーに戻ります。このパターンの転調は音楽理論上は関係調(related key)への転調と呼ばれます。関係調には、同じ主音(トニック)を持つ長調/短調の組み合わせである同主調(parallel key)、同じ調号によって示される長調/短調の組み合わせである平行調(relative key)、主調の第五音(ドミナント)を主音とする属調(dominant key)、主調の第四音(サブドミナント)を主音とする下属調(subdominant key)があります。日本語と英語で表現がズレているのでわかりにくいのですが、ポピュラーソングの転調は、ほとんどが関係調への転調か、半音ないしは一音上げ(下げ)の転調のいずれかです。

この曲を例にとるとDメジャー(ニ長調)の同主調はDマイナー(ニ短調)、Dマイナーの平行調はFメジャー(ヘ長調)ということで、DメジャーとFメジャーは同主調と平行調の二段階を経た関係調ということになります。このような転調を音程に着目して「短三度転調」ということもあります。コブクロの「桜」やサザンオールスターズの「TSUNAMI」などにも、この転調パターンが使われていますね。

音楽理論がある程度わかってくると曲を分析する楽しみが広がります。たとえば、モーツァルトの「トルコ行進曲」には同主調への転調、ジョン・レノンの「Happy Christmas」には下属調への転調、アンジェラ・アキの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」には属調への転調が使われているな、などと聴きながら分析していると、創作の過程での具体的な工夫が見えてきて、作者の存在が身近に感じられます。「理論」というと何だかとっつきにくいもののように感じてしまいがちですが、学ぶことで世界の見え方が違ってくるのは確かだと思います。

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