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木の葉舟
枝から落ちた木の葉は、遠のいていく空の青を仰ぎながら、ひらりひらりと舞い降りていました。
ひとひら、どこか心許なくも、晴れやかでした。
やがて、水面に降り立ち、木の葉舟になった木の葉は、じぶんが、
澄みきった空の青……
遠い憧れである空の青……
に包まれていることに気がつきました。
驚きに心震わせ、浄福の思いに満たされました。
いえ、じつは、空の青が、水面に映じていただけなのですが。
とはいえ青は、彼方にも在り、此方にも降るのです。
木の葉は、喜びに湧き、より黄金色に輝いて、水面の空を航行しました。
風が、変わらず、背を押してくれました。
そうして、いずれ、みなそこへ沈むときには、空の空、宇宙の深みへもゆくのです。