三玉
行く道々で見つけた三つの玉を、かれに届けた。
あまりに美しいので、かれの見舞いの品になれば、と思ったのだ。
かれは、衰弱し、土気色の顔色をした青年だった。
狭い暗がりにうずくまり、運命を一身に引き受けていた。
三つの玉を、かれに手渡したとき、それぞれ「黄玉、小玉、珠玉」と、ふと思った。
かれがふれた瞬間、名と意味が生じたのだ。
「黄玉」は、風船葛より一回り大きな、繊維の透けた実のような玉であり、かれの幼年時代の宝物だった。
「小玉」は、ビー玉のような小さな透明の玉であり、かれの流せぬ涙だった。
「珠玉」は、光であり、かれの本質だった。
それら、三つの玉すべてで、かれのたましいだった。
はからずも、わたしは、かれのたましいを拾い集めていたのだった。
道理で美しいはずだ。
そして、わたしが、見逃すはずなどなかったのだ。