初アーティゾン美術館 鴻池朋子さんの展示が圧巻
都内の美術館も日時指定でぽつぽつと再開し始めたので、前から行ってみたかったアーティゾン美術館を予約。鴻池朋子さん、メアリー・カサットたち(女性印象派画家)の展示をとっても楽しみにしてました。結論、もうみんな見にいって!!鴻池さんの展示がエネルギッシュで圧巻過ぎました。
鴻池さんの作品ステキだな、と思ったのが2019年の瀬戸内芸術祭。ハンセン病療養所のある大島での展示リングワンデルングを観てからです。
1933年(昭和8年)に青松園青年団が北の山にぐるりと1周つくった全長1.5kmの散策路を、鴻池さんが復旧させ、夏会期にはその散策路の半ばの林の中に「皮トンビ」を展示。林の中に溶け込みつつ、でも存在感たっぷり、動物の皮に描かれたキツネの目に、射抜かれたような気になる印象的な作品だった。
アーティゾン美術館の6F展示室に入ると、あの林の中にあった作品がどーーーーんと吊り下げられているじゃないか!
自然の中になかば放置されていた作品が、都内の現代的なビルの中にあるって……なんかすごく不思議な感覚になる。同じ作品を鑑賞している気がしない。
大島の林の中にあった時は、もっと荒々しい感じで、赤茶色がもっと激しく主張していたような。いま目の前にある作品は、内なるパワーは感じるんだけど、なんだか落ち着いた感じがする。
こんな風に作品の〝経過〟もアートになるんだなぁ。まじまじと見入っちゃう。
ちなみにアーティゾン美術館を出たら(いい意味で)ヘトヘトになってて、カフェで休憩しつつスマホの写真を探したら、大島の皮トンビの写真を見つけた。やっぱり違うなぁ……。しかもこのときは木々に遮られて右端のトンビもしっかり観られなかったんだった。
駆除された動物たちの毛皮がぶら下がっているところでも考えさせられたなぁ。ふさふさした毛並み、生々しい肉球。
日本の「なめし」職人は減っていて、ほとんどの駆除動物たちの毛皮は捨てられているそう。一方で、コートの毛皮のために一生を終える動物たちもいるわけだよね。
生き物や小さな命が刺繡されている毛皮も素敵だったなぁ。かわいい。
鴻池さんの生き物たちを愛でる気持ちがびしばし伝わってきた。めちゃくちゃ書き込まれたすごろくも、かわいさ・楽しさあり、自然の厳しさもあり。
個人の〝語り〟を手芸で表現する「物語るテーブルランナー」も面白かった。やっぱりわたしはどうしてもハンセン病の方々の体験に目がいってしまう。目の見えない入所者さんが散策路を賑やかに歩くようす、カメラを抱えて写真を撮るようす。ケアにあたる看護師さんたちの〝本音〟も垣間見られた。
そして展示エリア中央に設営されていた滑り台↓、もちろん滑った。
けど、滑るのが超下手になってて笑った。雨で湿気がすごくて服と靴が引っかかったということにしたい。笑
一番奥の映像エリアでは、雪山に首まで埋まった鴻池さんが「ドラえも~~ん」と叫ぶ映像もクスッとするので(のび太が雪山で遭難したドラえもんの映画を思い出した)、おすすめ。
鴻池さんの展示・6Fだけでこの充実度(ちょっと疲れた)。このあと、ヴェネチアビエンナーレの日本館帰国展示が5Fに、石橋財団コレクション選(印象派の女性画家特集もここ)が4Fにある……。これで1100円ってなんて豪華な……!4Fの女性画家特集はまた別途レポート書こうと思います。
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