あいちトリエンナーレ最終日 3回の抽選の結果は…
3連休は秋会期の瀬戸内芸術祭に行くつもりだったのが、台風19号で飛行機が飛ばず。一夜明けたら本当にひどい被害……実家のある茨城も福島も。落ち着いたらボランティア募集なども始まるだろうし備えたいと思う……もうこれ以上被害が広がりませんように。
行くかどうか迷ったのだけど、どうしても自分の目で見ておきたいと3連休最後に弾丸、最終日のあいちトリエンナーレに行くことにした。
理由は再開した各回40人の抽選制。3回あるチャンス全てにトライしたものの………前後賞になることもなく、まるっと外れました。ほんと昔からくじ運が悪い…(から、半ばダメもとだった)。これで当たった人はほんと強運だよな~うらやましいよ~
当選した番号の表示に集まる人びと&それを撮るメディアの人たち。最後の回にはペットボトルと拡声機を持ってきた2人組の周りに美術館職員や私服の警察官がたくさん集まり、物々しい雰囲気になった。
不自由展のクローズ前と後
ただ、抽選は全外れしたものの。わたしがあいトリを最初に訪れたのは8月中旬。すでに不自由展は観られなくなっていて、一部の作家が抗議として作品の展示をやめたり変えたりしていた状態だった。
なので、再開後に作品を再オープンしたものを含めて2度目の鑑賞。気に入ってた作品をもう1回じっくり味わって、名古屋市内だけでも十分に堪能しました。
不自由展のクローズと関係あった作品で、印象に残ってるものを紹介します。
国際問題の「数」を「実感」させるアート
前回入れなかったキューバ生まれのも入れた。
今回わたしの手に押されたスタンプ10150920は、2019年に国外へ脱出できた難民と、できずに亡くなった難民の数の合計。
そしてこの展示ルームは、地球規模の数字をみても感情が揺さぶられない人たちを、メンソールの臭いで無理やり泣かせるために設計されたそう。
ビニールカバーをめくって室内に入ると、すげーツーーーンとする……痛い痛い(隣の作品の部屋にも漂っていたメンソールの香り)、長くはいられない。
数字が更新されているけど、これはどっちの数字が増えたんだろうな……無事に脱出できた数だといいけれど……
ちなみに2018年の日本。10,493人の難民申請があったけれど、認定されたのは42人です(難民支援協会HPより)。
ラテンのルーツのある人びと@名古屋
ラテンのルーツがあって名古屋に住む人たちのパーティーを撮ったレジーナ・ホセ・ガリンドさんの作品「LA FIESTA #latinosinjapan」
名古屋市のビルの1部屋。ほぼ初対面の人たちがだんだんと打ち解けあって、しゃべったり、ラテンミュージックでダンスしたりご当地フードをつまんだり…とウキウキ気分が上がっていく映像なんです。
ただ、8月初旬にはパーティー会場のように飾られていた作品展示室は、不自由展対応への抗議としてめちゃくちゃになってた。
上映自体は再開されていたので、映像とのギャップがもの悲しかったな。
通りがかった女性は「なんで飾りが落ちてるの?パーティーで騒いだから?」と不思議そうだった。この辺も説明できるものがあるといいよなぁ……
大混雑のCIRエリア
不自由展入り口そばの、CIR(調査報道センター)の展示エリアは大混雑。不自由展が閉まってからはここも入れなかった。
CIRとはなんぞや?というと…
1977年に設立された米国の非営利報道機関。ラジオ番組およびポッドキャストの「Reveal」で広く知られ、その活動は「恐れのない調査報道」を信じるメンバーにより維持される。報道機関が独自に掴んだスクープを報じる「調査報道」は、一般に文章か映像の形で作られるが、CIRは取材結果をアニメ、演劇、ヒップホップ、アプリなど、多様な表現を用いて展開。成果物はソーシャルメディアなどで無料公開される。(あいトリ公式サイトより)
・ハンバーガー(牛肉食)が温暖化に及ぼす影響(米国人は平均週3回もハンバーガー食べてるそう!確かにあのお店の数からしたらそうか……環境大臣には豆腐ステーキを食べてもらって日本食PRしてほしいな)
・子どもを独房〝the box〟に入れる是非を問う(独房でだんだん自分の精神が狂っていく様子を振り返るイジーの言葉、リアルで怖い)
・Google、Facebook……あなたがネットに登録した情報で、ずいぶんあなたのことが分かるよ!
……などなど、現代社会の問題を分かりやすく短いアニメーション動画でまとめたものを上映。教材として学校で使ったらどうか…?と思ったよ。
一部はここから観られるっぽい(https://www.revealnews.org/video/)。英語の勉強にもなりそうだな~
不自由展を立ち入り禁止にしていた「壁」
不自由展が閉鎖されていたときの「壁」を「橋」に変えていこうとした取り組みは、同じ階のスペースに一部が移動されていた。
あいトリに先立ってモニカ・メイヤーさんが性暴力・セクハラについてワークショップをしていた「がもとになっている。
この壁では、「あなたが日常の中で見つけた差別や偏見、我慢や諦めを強いられた具体的なエピソードを教えてください」という問いに、性的少数者の苦しみ、日本の息苦しい空気や、抗えない同調圧力といった訴えが書かれていた。
「周りに外国人への差別を平気で口にする人がけっこういます。『外人が店員にいる店には行きたくない』等」
「お見合いで出会った彼、不自由展の事を知ると『日本でやる(かざってもらえる)のに日本人に不愉快な物をかざる意味わからん』と言われた」
………なんかもう………。SNSやネットで自分にとって耳障りのいいニュースや言葉を集めてしまい、自分の視野が狭くなっていないか自覚的でいるにはどうしたらいいんだろうなぁ。ほんと自戒を込めてなのだけど。
少しでも生きやすい社会に
一時、質問カードをビリビリにやぶいて散乱させて、作品名を「沈黙のClothesline」と変えた、モニカさんのもとの作品。
今はどうなったか見てみたくて、名古屋市美術館へ転戦。一部が元通りになってました。
「不自由展にあわせて展示再開したんだよ」というのが分かりやすくて、作品がバージョンアップしている感じを受けた。
前回来たときは、まさかこのあとビリビリの紙だけの展示になるなんて思ってなかったから、自分では回答を書かなかったんだよね。
「少しでも生きやすい人が増えるような社会に」と誓って回収箱へ。