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詩『幸福成分配合リキッド』

僕たちにはいろんな愛情の表し方があって
そのひとつひとつを味わうたびに
こころにポタポタと溜まっていくんだ
優しさという名の香水がね

手首に吹きかければ
砂糖にも似た甘い香り漂う
胸の白い肌にすりこませれば
じんわり心臓の奥底が暖かくなっていく

きょうもそうやって
みんながくれる言葉をすこしずつ
あなたのくれる言葉をすこしずつ
僕は綺麗な心の瓶に貯めていくんだ
素敵な匂いのする 優しさのリキッドを

目が合うたびに どこかですれ違うたびに
あなたが僕にくれる秘密のサイン
そっと小さく手を振って 期待に応えてみるけど
香水が溢れてしまいそうで困ってしまう

たとえ勘違いでも構わない
僕の行きすぎた思い込みでもいい
この優しい温もりが 明日も続いてくれるなら
あなたの優しさが まだ途切れないのなら

僕はきょうも、この胸を焼く
やや淫らな表現すら頭を掠める

きょうもそうやって
みんながくれる優しさをひとつひとつ
あなたがくれる無償の愛をひとつひとつ
僕は綺麗な心の瓶に貯めていくんだ
素敵な匂いのする 優しさのリキッドを

今しか与えることのできない
愛とも呼べるリキッドを



[了]



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