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小説とか詩とか

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瑞野が書いた小説や詩をまとめています。短編多め。お暇な時にぜひどうぞ。
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#自由詩

詩『time fries』

彼女の目をじっと覗くと 黒目の奥に好奇を感じる 好きという感情も嫌いという理性もなく 自分の好奇心を抑えきれずにいる彼女の目 その目付きで俺を見ないでほしい 値踏みされてる気がしてたまらなく不快 でもそれよりもっと不快なのは 彼女をそうやって値踏みする自分の態度 なんでいつのまに 彼女を忌み嫌ってしまったのだろう なんでいつのまに 最初の気持ちは消えてしまったのだろう って、自分勝手に自己嫌悪しちゃってさ 馬鹿みたいだね、ああ笑えてくる そこに確かに潜んでいるのは 互

詩『雛鳥』

いつも心の奥底で思っていた 誰かが僕を変えてくれるはずだと その時がいつか来るはずだと ひゅっと視界を横切ったツバメ ホームの上の巣に溜まって 優しい営みをそこに築く 口を開けていても エサは入りやしない 待ち望むものは自分で手にしなければ わかっていても 飛べない 飛ぶだけの勇気が 僕にまだない ぎこちないストロークで腕を揺らす それはまるで飛べない雛のように まだ飛ぶことを知らない僕なりに なにか一歩を踏み出すように 口を開けてばかりいた 僕は雛鳥のまま 空想ばか

詩『理由』

どこまで行っても私たちは 川岸のように平行線で 海に辿り着くまでひとつになることはない 心をスキャンして気持ちを読み取れたら この世界に恋という字が生まれなかった 言えない気持ちを四苦八苦して 見えない未来に手を伸ばしてく もう遅いって言ったって知らない 誰にも引き留める権利はない 暗がりを彷徨う君を引き連れ ここではない何処かへ導いていきたい 何よりも強くなるために 君の側に居ることの意味を見出すために 例えば僕は桜の木で そんで君は楓の木 互い半周遅れで巡り合うよ

詩『花を飾る』

家の窓に萎れた花ひとつ 水のなき瓶に刺さりけり 色の無い薄汚れた花弁一つ はらはら鮮やかに枯れている 輝きを失った生活 振り子のように 馬車馬のように AとBの往復続ける毎日 ときおり人はそれを憂いて どこか遠くへ身を放り出す けれど己に繋がれたる鎖の長さを知り かえって虚しい感情を沸き立たす 瓶を洗う。 ほこり取れて輝き取り戻す。 透き通るその体に映るもの 彩りを少し忘れたひとりの大人。 僕を洗う。 汚れ取れて光取り戻す? 薄肌色のその体に宿すもの 幸福を問う疑問

詩「衛星軌道」

「君が好きだ」という陳腐な言葉で 僕はこの旅にピリオドを打った ふたりが描いたふたつの線は この空に確かな軌道を描いてきた 褪せたシャツでも外に出れた 夏のふざけあった坂道 埃っぽいコートをびしょ濡れにした まだ誰もいない雪野原 覚えてる 覚えている 昨日のことのように思い出せる 瞳のカメラと頭のメモリーでいつでも呼び出す きょうも、あしたも、そのさきも きっとこの軌道は伸びていく 穏やかな空の下を電車は行きかう 無数のカメラとフィルムを満載にして その一つ一つに無限の

詩『高速バス』

重たいコートを着ないと寒い 藍色の裾を風に揺らす 履きつぶれかけた靴と共に 妙に新しい青のリュックを背負い 探しているものはなんだろう 新しい自分かな 知らない世界かな もしくは君の面影なんだろうな バスは走る 裸の大地を 実りを終えた里を なだらかな坂を越えて 手の届くサイズの未来へ ポケットにしわくちゃの折り紙 渡せなかった過去の想い 薄くなった鉛筆の線と 遠ざかった記憶の面影 手にしたものはなんだろう 確かな知識かな 尊い生涯の友かな 永久に愛すべき人を失ったの

詩『エンディング』

簡単に終わる恋じゃないって 俺はきっとたかを括ってたんだろうな 余裕モードだった自分に天罰下って 自分のせいなのになんか腐ってしまう 日付回って1時過ぎ ようやくベッドに入った時に なんか足りないなぁってちょっと思って いつもの電話がもう来ないこと気づいた きっとそうなんだろうな 思いもよらない展開って絶対あるんだよ そういえば昔見た洋物の映画 エンディングが唐突で消化不良だったな それでもこのストーリーは続く どうしようもない男のライフはまだ残ってる この胸が鳴る限り

詩『僕は、いま』

浅い眠りの中で 嫌なことを思い出した すごく昔の 僕のトラウマ 戸惑うばかりの僕をそのままにして ここから飛び出した初恋の人 冷蔵庫の水を鬱陶しそうに飲む彼女 あの人と似ても似つかない今の彼女 睡眠すら邪魔される僕の生活 知らぬ間に通りすぎていった時間は 僕らから素直な気持ちを奪っていった ぶつかるばかりの本心は磨り減って 辻褄合わせの言葉で取り繕ってる ねぇ、こんなはずじゃなかったのにね もっと楽しいと思ってたよね 僕はいま 何かを伝えたい 僕はいま あなたに伝えた

詩『どこまでも連なってく世界』

人影の少ない真夜中の信号機 根元に手向けられた小さな花束 反射的に手を合わせてしまう僕は まだこの命が惜しいと思う きっとこの場所の住人は ここに閉じ込められたままなのだろう 仕掛けられた時計が止まった瞬間 彼は何を思ったのだろう 雨上がりの朝 水溜まりに足を突っ込む子供たち ビチャビチャになる靴下と小さな波 幼い心が躍動する音がする 想像もつかないほど広がっていく 鼓動と鼓動の重なる輪 その輪の中で新たな鼓動が生まれ どこまでもそれが連なってく この広く 広く 広く

詩『keep sharing』

ヘトヘトになった金曜日の帰り際 駅の改札でチーズタルトを売ってた レアなやつと焼いたやつ 無性に食べたくなったけど ひとりだと多すぎて躊躇った 多分、胃がもたれてしまう しあわせは 何を食べるかじゃなくて 誰と食べるかに左右されていて ひとりで食べるカップそばは味気ない サクサクの天ぷらも欲しいと思えない 七味を山ほどかけて 無理やりごちそうさん このままでいいのかな? でも このままでいるしかないんだな いつでもみんなは  こころを半分こにできる たのしいことも かな

詩『空腹なライオン』

じわっと舌に突き刺すと 鈍い痛みでっかち頭で感じるんだ よっつ鋭く尖った僕の歯  牙ほど威力はない白い歯 いつの間にか失くした闘争心 奮い立たせてくれたのは誰? 遠くで嘲笑う声が聞こえたから 反射で脚が動いてしまったんだ 誰にも届かないぐらい遠いところへ行こうってね 思うままに走ればいいじゃない? 最初は1人で草むらかきむしるけど そのうち誰か着いてきてくれるでしょ 来なきゃ来ないでそれもいいし いつの間にか細くなった僕の脚 血の管浮き立つほど力を込めて 乱暴に大地を蹴

詩『幸福成分配合リキッド』

僕たちにはいろんな愛情の表し方があって そのひとつひとつを味わうたびに こころにポタポタと溜まっていくんだ 優しさという名の香水がね 手首に吹きかければ 砂糖にも似た甘い香り漂う 胸の白い肌にすりこませれば じんわり心臓の奥底が暖かくなっていく きょうもそうやって みんながくれる言葉をすこしずつ あなたのくれる言葉をすこしずつ 僕は綺麗な心の瓶に貯めていくんだ 素敵な匂いのする 優しさのリキッドを 目が合うたびに どこかですれ違うたびに あなたが僕にくれる秘密のサイン

詩『instant camera』

君から見える世界 僕から見える世界 どっちの方が綺麗とかそんなんじゃない どっちの方が鮮やかとかで比べられない それぐらい違って それぐらい面白い 君から見えるあの人と 僕から見えるあの人も どっちが大人とかは決められない どっちが魅力的とかで測れない 君が想ってる未来 僕が想ってる未来 もしかしたら違うかもしれない でも少しずつ話して擦り合わせればいい 君は君のレンズで目の前を見つめて 僕は僕のレンズで同じ景色を見つめて それ以外にはなにもいらない ややこし

詩『シャンプー』

愛が終わる瞬間って どんな感じなんだろう 漂い出す空気から何かを察するのか 何のサインもなくあっけなく幕が下りるのか 察しの悪い僕には 想像することもできない 僕らの毎日は 何事もなく過ぎていく 昨日をほぼオートリバースするかのように 綴られていく生活 そこにある 洗面所のゴミ箱に 封が開けられたテスターが捨ててある 僕は溢れそうになってるゴミ袋の 口を結んで捨てておいた ふいに君が横を通りすぎて 柔らかな髪がゆるりとなびいた 鼻を突いたその香り いつもと違う君を僕に