小説『introduction』
「じゃあ、定期ライブお疲れ様でしたー!」
グラスが一斉に高鳴る。天王寺にある古ぼけた居酒屋。いつもサークルでライブを開催した後、決まってここで打ち上げを行う。今夜も、狭い座敷に部員がすし詰めになって酒を飲みかわす。
俺はいつも絡むサークルの仲間と話す。
「・・・どうなんだよ?卒業したらどうするんだ?」
「んー、まあ、音響関係の会社で働くかな」
「バンドは?」
「無理無理。プロで食っていけるほど才能ないし」
「けっ、お前もそれぐらいの奴か・・・」
俺は思わずがっかりしてしま