ごちうさ最新話の見どころまとめ(まんがタイムきららMAX2022年3月号)
「ご注文はうさぎですか?」(以下、ごちうさ)にはたくさんの魅力がありますが、いざ人に説明しようとすると、何から話せばいいか迷いますよね。
キャラクターの成長?ストーリーの伏線?自身の中では素晴らしいものだと分かっているつもりでも、それを言葉にしようとすると、案外難しいものです。
まんがタイムきららMAXの最新話を読むたびに、この作品の奥の深さを実感する自分がいます。何も考えずにごちうさを読むのも楽しみ方の一つですが、せっかくならこの魅力を人に伝えられるようになりたいですよね?
この記事は、そんなファンのために、毎月更新されるごちうさの新たな魅力を紐解くことで、その見どころとなるポイントを整理し、まとめていくものとなっています。
さて、今月もごちうさの最新話が公開されました。
お話に関わる重要なシーンをピックアップしていきますので、よろしければ最後までお付き合い下さい。
■ 看板娘隊がリニューアル!ブライトバニーのフユちゃんを加えた4人体制に
看板娘隊が増えました!ラビットハウス、甘兎庵、フルール・ド・ラパンそれぞれを代表するチノちゃん、千夜ちゃん、シャロちゃんに加えて、新たにブライトバニーのフユちゃんが参戦です。
ごちうさという作品の大きな特徴は、グループが多数出てくることでしょう。軍人気質のリゼちゃんが何かと部隊を作りたがる影響で、作中には実に多くの部隊が出てきます。たとえばチマメ隊は、リゼちゃんがプールの帰り道で突然思いついたのがはじまりでしたね。
いつも何かとお騒がせがちなココアちゃんと千夜ちゃんによる「振り回し隊」、それに対するシャロちゃん、チノちゃん、リゼちゃんの「振り回され隊」もあります。命名するのはリゼちゃんだけでなく、他の子が名づけることもしばしば。今回の看板娘隊を言い出したのは、千夜ちゃんでした。原作単行本6巻の挿絵に登場したのが最初ですが、その後のアニメシリーズでは、本編中のワンシーンとして実際に動いている看板娘隊の姿を見ることができます。円盤の6巻には、看板娘隊初のキャラクターソング「スキでスゴイになりたいな」の特典CDが付属されました。
部隊が増えると、良い事づくめです。今回は既存のグループに新しいメンバーが加わった形ですが、4人になったことで新しく生まれるドラマもあるでしょう。4人の繋がりが深くなれば、他のメンバーも多かれ少なかれ影響を受けることになります。いろいろな子たちの意外な一面がこれからますます見られるかもしれません。今後の展開が楽しみです。
■ お弁当で繋がる絆
さて本編ですが、今月のごちうさは手作りのお弁当をみんなで交換して楽しもう、というお話でした。
きっかけは、ある日のお昼休み。上級生組のココアちゃん、千夜ちゃん、下級生組のチノちゃん、フユちゃんがお昼ご飯を一緒に食べるところから話は始まります。千夜ちゃんお手製の和風弁当も、ココチノが持ち寄ったうさぎのキャラ弁も、どれも色彩豊かで可愛らしいですよね。
そんな中、小さいベーグル一個を「もっもっ」と食べる少女の姿が。
ここ最近、特に単行本10巻ではチノちゃんの心を大きく支えたパートナーとして大活躍し、ファンの間でも確実に評判を高めつつある風衣葉冬優ちゃんその人です。
都会にいた時から、フユちゃんはあまり食に関心がなかった様子。「お腹がが満たせればいいから…」という抑揚のない台詞からも、フユちゃんが今まで地味な食生活をしてきたことが覗えます。リゼちゃんが聞いたら笑顔で食いついてきそうな話題ですね。ベーグルー個でお昼を凌げるなら戦場でも通用しそうです。
ただし、フユちゃんも全く料理に興味がなかったわけではなく、三人が持ち寄ったお弁当を見て、自分もこんな風に作りたいと思い始めます。
チノちゃんもチノちゃんで、食べてもらうなら自分で作ったお弁当がいいと、お弁当作りに積極的です。かくして、千夜ちゃんの提案により、チノフユの間でお弁当の交換会が始まるのでした。
はじめはチノフユの間だけで行われるはずだったお弁当交換が、あれよあれよといううちに他のメンバーにも広がっていくのがごちうさらしいです。
お弁当を作って、渡す。それは一見、単純なようで、実はとても奥が深いことなのだという学びがありました。たとえば、お弁当の中身を決めるのにも、相手の好みに合わせなければなりません。どんなモノを作ったら喜んでもらえるのか、どんなメニューならサプライズになるか。また、単に料理を作って詰めればいいといい話でもなく、栄養バランスも考えた上でお弁当の中身を決める必要があります。
そんなふうに相手のことを想って料理することの連鎖が、「お弁当の輪」という千夜ちゃんの言葉に集約されていて良かったです。
離れてても、お弁当を作り合えば、こうして繋がることができる。チマメ隊が高校に、リゼちゃんが大学に進学してしまってからというもの、既存メンバーの物理的な距離は開いていく一方です。卒業に、就職に、きっとこれからもますます距離は遠くなっていくでしょう。
けれど心の距離までは、どんなに時間が経っても離れない。そんな皆の絆を再確認するお話だったと思います。
■ フユちゃんが「今になって」お弁当を作ろうと思った理由
最近、精神面での成長が著しいフユちゃんですが、今回も大きな変化がありました。周りの人たちのお弁当の可愛さに気付くことができた、という変化です。
なぜフユちゃんは今になって、お弁当に意識が向いたのでしょうか。というのも、フユちゃんがチノちゃんのお弁当を見たのはこれが初めてではないと思うんです。
作中の時期がだいたい6月の終わり頃だと仮定しても、高校入学からすでに3ヵ月あまりが経とうとしています。その間、一度もチノちゃんのお弁当を見なかったとは考えられず、むしろ話題に上ったことは、幾度となくあったでしょう。実際、10巻の最終話にはチノちゃんとフユちゃんが一緒にお昼を食べているシーンが出てきます。
にも拘わらず、今になってお弁当の可愛さに気付いたのはなぜか?これには、フユちゃんが10巻を通して向き合ってきた悩みが関係しています。
緊張すると怖い表情を浮かべてしまうフユちゃんは、その表情で周りの人たちを威圧してしまうことに悩んでいました。この悩みに、一つの答えを示したのが千夜ちゃんです。「仏頂面でも人を笑顔にすることはできる」という考えが、悩めるフユちゃんの背中を押しました。「マスクド・スマイルメーカー フユ」は、フユちゃんの人生を大きく変えた転機の話といっても過言ではありません。ごちうさ10巻は、フユちゃんが自身のコンプレックスを乗り越えていく一つの大きな物語と解釈することができます。
自身に意識を囚われているうちは、周囲に目を向けることができません。自身の問題が解決して初めて、人は他人に意識を向けられます。この3ヵ月は、フユちゃんが自分自身のあり方と向き合って、世界の鮮やかさに気が付くために必要な充電期間でした。
逆にいえば、フユちゃんはもう「乗り越えた」ということです。千夜ちゃんの手作り弁当や、ココチノのうさぎ弁当の可愛さに気付いたという、その事実が、フユちゃんの成長を何よりも雄弁に物語ります。
■ 「憧れの人」から「親友」へ
もう一つ、フユちゃんに起きたであろう変化で語っておきたいことがあります。おそらくですが、チノちゃんに対する意識が変わったのではないでしょうか。
フユちゃんの中でのチノちゃんのイメージって、今までは憧れの対象というか、どこか雲の上の人みたいな感じだったと思うんです。喫茶店ラビットハウスのマスターとして働きつつ、学業もこなし、クラスの人気者で、人望も厚く、気遣いもできる。そんなチノちゃんの完璧な姿は、フユちゃんの目には目指すべき対象として映っていたはずです。実際、フユちゃんの言葉にはチノちゃんへの憧れが強く出ているものが多数あります。
けど当たり前の話、チノちゃんにだって出来ないことはある。今回のお弁当の前衛芸術個性的なデザインが最たる例で、チノちゃんは満足げにしていますが、フユちゃんは多分、察しましたよね(笑)。チノにもこんな一面があるんだ、苦手なことがあるんだ、って。それはきっと、フユちゃんにとって悪い変化ではないです。
今までは雲の上だと思っていた、憧れの対象だった子が、雲の上なんかではなく、自分と同じ地面に立っている。「憧れの人」から「親友」へ。そんな二人の関係の変化の下地が生まれた瞬間なのではないかと思います。
■ おわりに
さて今回は、お弁当交換の楽しさと、フユちゃんの成長の証が印象的に描かれたお話でした。いかがでしたか?
ここでご紹介したものは、あくまで個人の解釈です。本記事を手がかりに、みなさんも自分なりの考えや解釈を広げてみてください。
またね!