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飛ばされちゃったらなんにもしないの
風の強い日。
一人歩いていた。
体がヨロヨロするほどの強風。
ふと。前に2、3歳くらいの女の子と若いお母さんが歩いていた。
女の子は強風に大はしゃぎ。帽子を飛ばされそうになってきゃあきゃあ笑ってる。ママも一緒に笑ってる。
女の子が笑いながら叫んだ。
「飛ばされちゃうー❗️」
ママがおかしそうに言った。
「ねー。飛ばされちゃったらどうしようねー」
女の子はこともなげに笑って答えた。
「飛ばされちゃったらなんにもしないのー」
後ろを歩いていた私はガーン、となった。
この子すげえ。いま楽しそうに笑って真理言ったわ。神さまの一種だこの子。
飛ばされちゃったらなんにもしないの。
そう。
その通りなんだ。
そうするしかないし、それを楽しめばいい。いいも悪いもあって、そこから色々知ることもある。それでいい。ジタバタしないで。
飛ばされたらその子はそのまま鳥や蝶々になるだろう。舞う花になるだろう。私たちはみんなもともとそうで、実はいつでもそうなれる。
私も小さい頃はそれを知ってた。言葉ではなく感じて、そうやって生きていた。
で、歳を取るとそこへ戻る。だから歳を取るのってサイコーっていま思ってる。
知ったかぶる必要なんかない。知らないんだから。
なんにも知らない。分からない。だから知るよろこび。分かる楽しさ。そしてまた忘れ、何かに夢中になって遊ぶ。ヒトもダンゴ虫もバラもたんぽぽも区別せず。
振り向くと、大好きがいっぱい。
風が吹く。
飛ばされちゃったら、あなたはどうする?
あ、友達が来た。↓
綺麗な子でしょ?
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