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泣くなよしよし
お酒ももちろんだけど、すごくお水を飲む。レバートリートメント(©️玉袋筋太郎さん)、バッチリ。
水。
飲むもの、清めるもの。体の7割だか8割は水。食べ物がなくてもある程度生きるけど水が絶えたらすぐ死んじゃう。でも沈むと溺れ死ぬ。
体内の水が多めなのかトシのせいか、正気を疑われるほどよく泣く。あ、正気じゃないんだった私。ごめーん😛
先日は海賊戦隊ゴーカイジャーの最終回でまた爆泣き。ナイアガラ並み。
いつも基本嬉し泣き。嬉し泣きで号泣。
女の子がひどく泣いていた。どうした?
しゃがみ込んで訊く。
女の子は迷子になってしまったようだ。それも深刻な。
「いいこ、いいこ。泣かないよ?大丈夫、大丈夫」
それだけ繰り返す。宗教を持たない私にはそれくらいしか「のりと」がない。ただ、誰であれ通じるように祈りながら。
困り果てて泣いてる女の子。ずいぶんと無理して歩き回ったようだ。疲れ切って立てなくなるで。真面目でけなげな子らしい。心配させないよう我慢していたのね。
一つ、思うことがある。
我慢する人は我が満々、なんじゃないかなって。
やがて必ず破裂する。よくもこんなに我慢させたな。こんなに我慢したのにお前らは。
その時の爆発力はたいがいシャレにならない。時に多くの人死にが出ることもある。
かといって、普段から好き放題することではない。
自分の最適を知り、それを自分で作り出せるようになれば、我慢なんかからは綺麗におさらばできる。
あなたをちゃんと愛してね。
あなたしかあなたをちゃんと愛せる人はいないんだから。
そして、愛ってどんなものかちゃんと、見つけるんだよ。
多様化も結構だけど、基礎のところをきっと、ちゃんと知ってね。
自分が愛するならばそれ自体が喜びだって。
返ってこなくたって構わない。
それは枯れたり無くなったりしないもの。
あふれ続けるもの。
値段もつけられないもの。
恐れや不安とは無縁のもの。
静かでもうただただ嬉しいもの。
ごく小さなところから始められるもの。
その小さなものこそが偉大なこと。
それはどんな人も生き物もものも区別しないこと。
小さい魂の子たちは、棚の上は見えない。
棚の下の方にはお金とか、有名になってちやほやされたり、素敵なグッズや、好きな人に好かれたり、身の安全と安心などという、分かりやすいものだけがある。
棚の一番上に、本当の愛がある。
見えるようになる子は初めから魂が大きいか、そこへ登れる力のある魂の子。
これに関しては、決してズルはきかない。
本当の愛があれば、たとえ惨めな死が迫って来ていたとしても笑っていられるんだよ。そして花弁ひとひらの遺恨も残しはしない。そんな核廃棄物みたいなものは。
ともあれ泣き止むまで話を聞いて、そばにいた。
気をつけて行くのよ、お嬢さん。ここまでしか送ってあげられない。あとはあなたが一人でゆきなさい。大丈夫。ここまで来られただけであなたはとても強くて勇敢なの。
何も信じられないのはあなたがあなたを信じてあげないから。まずはそこから。
もう他の人ばっかりキョロキョロ見て不安がらなくていいわ。そんなバカなことをあなたに教え込んだ人たちなんてね。みんな捨てておしまいなさい。あなたはあなたのものよ。ほかの人もそうなの。
Please proud of yourself.
棚の上に登れたら見える。一見ひどい人やかわいそうな人も、私たちと変わりゃしないの。
やっぱりけれど、もらい泣き。こんな優しい子を泣かせたのは誰?どんな状況?
T兄の作業着がボロボロになっただけで泣けてくる。無事で笑顔で1日が終わることは、当たり前のことじゃない。分かっていても、涙が止まらなくなる。
誇らしさ、胸の痛さ、幸せ、愛おしさ、ないまぜになって。
けさ、美しい色彩の溶けた空を見た。空じたいが幸せに遊ぶ虹のようだった。それだけでその美しさに涙が出た。涙の理由はあんな感じ。色々溶けてて。
よけいなものを、今日も漉さなくてはね。
人生は美味しい方がいいもん。
だーれも、私、
心配なんかしないよ。
信頼してる。
迷子になった見知らぬ女の子もきっと大好きなものがあるはず。
だから泣きじゃくるその子に聞いてみた。『サウンド・オブ・ミュージック』で、稲妻をこわがる子どもたちを慰めるやり方。お気に入りのものを考えて。大好きなもの、大好きなこと。
何か一つはあるでしょう。
思い出せない?
うんとうんと小さい時のことだよ。
女の子は目を上げた。
彼女は一緒に泣いていた私を見た。
痛み。恐怖。怒り。悲しみ。苦しみ。絶望。
ちがうよ。
ここから出よう。
一度手を引っ張るから、あとは自分で立ちなさい。大丈夫。
できるよ。
それがこの世で一番勇気のあることで、一番素晴らしいこと。
その先で笑うことが出来たらそれがこの世で一番価値のあること。
でも、自分でやらなきゃならない。一人でゆくのよ。死ではない。生に向かって。
すっごいくだらないこと言ってあげる。
ほら笑った。
さ、立って。
するとトカゲが上から言った。
「おまえ、休めよ。動き過ぎてる。おまえをこそ、粗末にするんじゃない。今年は最終仕上げだ、忘れんなよ?」
「ん。飲もうかな。やれやれ、今日初めて座るかもしれない」
「バーカ。そこの加減が出来なきゃ仕上げが進まねえんだよ。ワイン取って来てやる」
「ありがと。あとさっき作った菜の花のからし和えも取ってきて」
かれが着てる黒いビーズのついたセーターは、私が以前喪服として買ったものだった。
何故だろう。
髪をザックリ切った彼が着るととても美しく、晴れ着にすら見えた。