従来型ファンクラブと近未来型ファンクラブ

衝撃を受けたのは、ホリエモンアイドルの中の1人のライブを見学させてもらった時のことだ。なんとステージが始まる前から、ファン同士が「最近どうよ」的な話を自発的にしていて、お互いにキャラが確立していた。

ステージが始まるとファンたちは一斉に踊り出して盛り上げに加わる。それも、無秩序に踊り始めるのではない。フォーメーションがある。察するに、年功序列みたいなものをベースに、いかにアイドルのことに詳しいかなどの要素を基に尊敬を集める順に前から並んでいるのだろう。

そして、曲の途中で前に出てくるグループがいて、その時はさっと前列のファンが避けて道ができる。それが阿吽の呼吸で自然に出来上がっている。

私は創立以来「箕輪編集室」という月額会員制コミュニティの管理人を勤めているが、そこで言うところの「1:n」の関係ではなく「n:n」の関係がまったく同じであることに驚いた。

ファンに奉仕させるのがサービス

そもそも、オンラインサロンなるものが、堀江貴文サロンに追従する形で乱立したのがちょっと昔。そもそもそれだけ人を集められる人間は限られている。いわゆるメルマガやブログで多くの読者を抱える人が、その中の1%くらいがリアルにつながりを求めてサロンに入会したはず。その多くは閉鎖されている。

その理由は明白で、メルマガの延長線上に美味しい情報を求めてきたファンではモチベーションが「会費に見合う回収をすること」に集中してしまう。それはつまり、与えるサービスに対してお客様がクレーム言う対立の構図になってしまうからだ。

現在継続していて、この先も継続するスタイルとは、堀江貴文イノベーション大学校に代表されるコミュニティの主体が会員を評価するスタイルである。

ファンクラブの史実

堀江貴文にこの仕組みを伝授した始祖・岡田斗司夫は、この仕組みを「社長に給料を支払う会社」と表現した。

社長に給料を支払う甲斐性さえあれば、採用面接で落とされることもない。確実に社員になれて、働かなくても「スポンサー」としてありがたがられる。モチベーションの落ちてきた社員は、実は会社をやめることが一番損をしないわけだから勝手に辞めていく。

これはコルクラボの代表・佐渡島庸平の言うところのコミュニティのあるべき姿「入るところでハードルも設けて、辞めるのは簡単」と言う構造だ。

ファンが一番求めているのはアイドルからの「ありがとう」

私は今、囲碁アイドルの個別のファンクラブのプロデュースの仕事を依頼されている。従来型のファンにサービスを提供して奉仕する形のファンクラブを依頼主もアイドル本人もイメージするはずである。でも、私は上のような説明を丁寧に繰り返し、ファンに奉仕していただく型のファンクラブを作る。

ファンが求めているのは、アイドルの情報や活動を愛でること以上にアイドルからの認知や「ありがとう」を求めている。ファンは他人の物語に自分を追体験させること以上に、自分の物語にアイドルが登場人物することの快感を覚えたらやめられない。

『お金2.0』に出てきた発展する経済システムの必須5要素
1. インセンティブ
2. リアルタイムの変化
3. 不確実性
4. ヒエラルキー
5. コミュニケーション

ファンはこれらの自分物語だからこそ、ゲームを進めていくように楽しむことができる。

まだこの構造の妙を気づいているサービス提供者は少ない。そして、気づいてもそう簡単にできるものではない。お客様に奉仕させると言うのは、なかなか勇気のいることだからだ。

それに、嫌なら辞めればいいだけなのに、この構造にクレームを入れるお客様の少ないけれどもいることはいる。先に書いたことを思い出してほしい。辞めることがお客様にとっても一番金銭的にも手間暇的にも楽に設定してあげているのだから、丁重に出口をご案内すべきなのだ。

いい店とは、いいお客様が集まる店である。自信を持って、コミュニティの実現したい世界を宣言し続けよう。


おわり

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みずもん のExpressive Writing
明日もがんばれる気がします。あなたが決めてください。