東京に出て来たと実感した日の話

この話をするにはまず僕の生い立ちを少し話す必要がある。
僕が産まれたのは神奈川県横浜市瀬谷区。横浜市の中でももっとも田舎と名高い区だ。森が多い。山がよく見える。
横浜の人が東京に出てきてとかどうこう言うなって?まあまあそれは置いておこう。

中学から逗子にある中高一貫校に通っていた。hideの母校だ。つまり谷啓の母校でもある。hideがいた頃はとても荒れていたらしい。当時はめちゃくちゃ高い塀が校舎の周りを囲っており、塀の上にはなんと有刺鉄線が内側を向いて備えられていたらしい。監獄である。そんな母校が変わったのは我らが徳間理事長様が来てかららしい。塀はなくなり大学みたいなオープンなキャンパスに生まれ変わった。そして割と自由な校風になり今に至る。

それはさておき逗子にあるということは海がとても近いのだ。海岸のとなりに学校は位置していて校庭のように海岸を使っていた。
部活では海岸を走り、冬の体育はほとんどが海岸走だった。遠泳もした。ヨットにも乗った。そんな感じで僕は海に囲まれて6年間の青春を過ごした。当然のように毎日を過ごしていたけど、今思うと海と山に囲まれたとても素晴らしい環境だった。

そんか環境は僕の価値観形成に大きく影響していると思う。将来は海の近くに住みたいと思う。周りの女子高はセーラー服が多かったからセーラー服が好きだ。セーラー服を着たい。

高校時代に東京に行くのは大冒険だった。渋谷のセンター街に行った時は恐怖で味の時計台だけ食べてすぐに帰った。友達のライブに新宿ヘッドパワー(今のWildSideTokyo)に行った時は新宿が怖すぎて涙を流した。オープンキャンパスに行く時は遠足気分だった。

都内に進出したのは大学生になってからだ。大学は山手線の中央、四ツ谷。アーバンな気分になった。渋谷にも行けるようになったし、新宿は好きな街になった。
大学生になりサークルの打ち上げの後は大学の近くの公園で終電まで遊ぶことが多くなった。ここで僕は東京に来た、ということをすごく実感することになる。

公園で遊んでいると水場が近いからか、こぶし大の大きめの生き物がひょこひょこ歩いていることがある。当然のように僕はこう思うわけだ。

「カニがいる!」

それは仕方のないことなのだ。中高6年間海のそばで過ごしてきたから道端に歩いてる大きな生き物といえばカニなのだ。

しかしその予想は大きく覆された。その生き物はカエルだった。東京にはカニではなくカエルがいる。誰に話しても理解を得られなかったが、これが僕にとってここは東京なんだ、と実感した大きなカルチャーショックだった。

今では道端を歩く生き物を見てカニだと思うことはない。

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