ブータンからウェルビーイングを考える。 Part2
ブータンが「幸せの国」と呼ばれるようになった理由。
電通も顔負けの幸せブランド戦略
「物質的な豊かさを求めて発展し続けることは、必ずしも幸福を生み出さない。」と、ブータンの第四代国王のジグミ・シンゲ・ワンチュク(先代国王)は1970年代から主張している。
実質、1970年代まで長い鎖国政策をとっていたからこそ、客観的に世界の流れや経済大国の歪みを見れていたのかもしれない。
そして、第四代国王は、人々の幸福度や豊かさを測るのにGDP(国内総生産)ではなく、GNH(国民総幸福量)を採用した。
ちなみに彼はなんと、16歳で即位している。
そして、21歳にして「ブータンにとってはGDPではなく、GNHの方が大事だ」と主張しているのだ。すごい…。
ではどうやって国民の幸福度を上げていくのか?
ブータン政府は国民の幸福度を上げるためいくつかの指針を立てているが、実際に実践している事柄としてよく知られているものは
・医療費と教育費は無料。(観光客も医療費は無料!)
・伝統文化を重んじるために、公的な場所での民族衣装の着用を義務づけ。
(確かに、こうすることで伝統産業を守ることに繋がるよね)
・森林や伐採業務を国有化して、自然環境保護に努める。
などなど。
持続可能な社会を目指すなら、GNHも参考にしたいって思ってしまう。
しかし、私がすごい!って思ってのはここからだ。
実は、この「幸せの国」作りの裏には、こんな逸話があるとガイドさんが教えてくれた。これが本当なら、マジですごい。
ブータンは日本の九州ほどの小さな国。
しかも、大国である中国とインドに挟まれている。
一握り程度に、いつでもどちらともなく吸収しようと思えば吸収できてしまえそうな小国だ。
そんな中での、1970年代に16歳という若さで即位した四代目。
舐められても仕方がない。
けれども、彼が「GDPではなく国民の幸福度の発展を国の柱にする」と主張し、国民の90%以上が「幸せ」と答えた、という情報を出したことで、名もなき小国が世界中に「幸福の国」として知れ渡るようになったのだ。
こうなれば、中国もインドもブータンに手出しはできない。
何かしようもんなら、「幸せの国」に何しとんのじゃー!と国際的非難を浴びそうだものね。
自分の国を「幸せブランド化」することで、自分の国を隣国の脅威から守り、持続可能にした第四代国王。
武力を使わず、誰一人傷つけることなく、「幸せ」によって国を守る。
このブランド戦略の発想、かっこよすぎませんか!?!?
実際にブータン国民から国王に対する敬意も半端ない。
自分たちの国を「幸せの国」と定義してくれた第四代国王への感謝と敬意の言葉をブータン人からよく聞く。
現在の若い第五代国王も人気だが、いまだに不動の人気を誇っているのが、この第四代国王である。
物質的な豊かさと精神的な豊かさとは反比例
この言葉は、EARTH COMPANYというソーシャルベンチャーを立ち上げた濱川知宏さんという方の言葉だが、ブータン国王の主張と似ている。
私もいろんな国を旅していて、この言葉の意味をかみしめることがよくある。