ブータンからウェルビーイングを考える。 Part1
最近よく聞く「ウェルビーイング」という言葉。
その度に、ブータンを思い出す。
「幸せな国」が枕詞になりがちなブータン。
なんで幸せな国なの?何が幸せなの?
本当?って思っている人も多いと思う。
私も「本当?」って疑った。
疑ったら、基本は自分の目で確かめたくなるので、実際に行ってみることにした。
初めてブータンを訪れたのが、2015年。
そして、何の因果かそこから毎年ブータンを訪れることになってしまった。
まさか自分が5回もブータンに行くことになるとは、夢にも思わなかった。
そんな私が一つ言えることは「ブータンは行った人を幸せにしてくれる国である!」ということ。
2016年からはツアーを組んで学生を連れて行っているのだが、全員が「ブータンは天国だった。また行きたい」と目を輝かせ、幸せ認定を押して帰ってくる。
まだまだ知らないことだらけだけど、私が学生とともに実際に見てきたブータンから、一体何がwell-beingなのかを考えてみたいと思う。
幸せブランド計画(観光編)
ブータンへは現地の旅行会社を通してビザを発行してもらわないといけないので、ちょっと手間。一人旅で、ついでに軽く入国しまーす、がなかなかできない国の一つだ。
しかも、特に学生の旅行客を悩ませるのが、一日の滞在費。
実はブータンで最大の産業の1つは「観光業」!ということもあり、季節にもよるが、一日ブータンに滞在するごとに、一人につき日本円で約2万円ほどの公定料金を支払わないといけない。
ただし、この2万円には、1日のツアーガイド料・宿泊費・食費・寺院などの参拝料・運転手付きの移動車・移動費・ミネラルウォーター代が全て入っている。だから、とりあえず先に滞在費を支払ってしまえば、現地でお金を使うことはまずない。
そう考えれば、高くもないかもしれないが、バックパッカーで安宿暮らしをする若者には、ちょっとハードルが高いだろう。
けれども、それこそがこの公定料金の目的の1つなのだ。
誰でもかれでも行ける国ではない、としたことで観光客によるゴミ問題を回避し、自然環境を守り、治安の維持を守り、人々の伝統的な暮らしと文化を守ることにつなげている。
こうして、結果的にブータンは「誰でも行けない」「秘境」「桃源郷」といった希少ブランドを生み出した。
結果的に、どうしてもブータンに行きたい、という秩序ある富裕層たちを確実に呼び、観光業を支えている。
制限をかけているのに、観光客は減ることはなく、増える一方。
しかも、基本はガイドと一緒にいるので、ブータン人の生活が脅かされることもなく、森林を荒らされることなく、お互い気持ちよく過ごすことができる。
うまくやっているなぁと思う。
ポイント:ブータン経済にとって大切な観光業だが、公定料金という制限を設けることで、自然環境や伝統文化を守り、ブータンの人々の幸せの実現につなげている。
(このコロナ禍で、ブータンの観光業界がどんな状態なのか気になっています…)
次回は、
ブータンが「幸せの国」と呼ばれるようになった理由。
電通顔負けの、幸せブランドづくり
について書こうと思います。