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【詩のようなもの6編】筋書き
【筋書き】
停滞する筋書き
イメージした世界観は崩れ
猫の暮らしに憧れ
持ったペンの置き所は
毎度毎度変わっていくから
必要な時に見つからない
これで何本目?
古い窓に射す光は
たまに暖かくたまに冷たく
原稿用紙の文字は空白
浅ましさが浮かび
筋書きは浮かばず
ズレた価値観に価値は無く
必要なのは価値ある個性だと悟る
今更後に引けず
付けた跡に後悔しながら
目の前の手痛い運命を憂い
皮肉を込めた文字を詰めて
文章を書き記す
後悔先に立たず
それでも明日には
その後悔すら必要だったと
小さく頷けるように
【不足】
分かっていながら少し無理して
いつもいつも睡眠不足
無理が祟って粗い過去を作り
目に見えた部分だけ荒療治
其れがまた負の連鎖を繋ぎ
知った気になった屍への命綱
陽だまりに浮かび上がる蟠り
はっきりしない言い掛かり
明かりの点かない心残り
悩んだ挙句何の変わりもなく
結局悩んだフリに移り変わる
分かっていながら少し後悔して
いつもいつも実力不足
【苦味】
肯定出来ない変革
呆けたツケの期限が逼迫
口に入れずとも
目を閉じれば巡りだす
苦い苦い味の思い出
首から腰まで丸まるように
頭を下げて項垂れて
吐き出す姿勢も理解されず
慣れない味を噛みしめた
勤労意欲も創作意欲も
反吐の出る葛藤と
汗の出ない努力で賄われて
満たされないまま花畑へ
イメージはカラフルなファンタジー
輝度の高いライトが踊ってる
それにつられる花の匂い
笑ってるのは解放された人たち
このまま溶け込んでいけたら
どんなに楽だろう
甘い味の奥行きで待ち構えてる
ツケの期限
惨めたらしく明日を飲み込んで
また苦い苦い味を味わうから
今日を肯定できずにいる
【無糖】
甘さが滴る今日のニュース
誰かを守る為に嘘をついて
興じた過去をもう暫く振り返る
感情的になったら増える敵
少しのミスも許されず
明日を生きるためなら
強請られる事もしばしば
信じたかったフォーマット
見えない部分が見えてしまえば
揺らぐ価値観に甘い考えは持てず
日々綱渡り
跨ぐ敷居の高さはいつも自分次第
分かってはいるけど
子供の頃の甘い夢が鎖になって
無糖の思考は自分を腐らせてる
いつからかそれに慣れている
甘えを許されないこの世界で
【許容範囲】
この暮らし
後何日続いていくの
不安も期待も入り混じる
歳を取れば取るほど難しい
いっそのこと再起不能まで
追い込むように理解不能な制度を
強行してみるといい
きっと僕はあっさり消えていく
未練すら持てないほどに
今に求めるものはなく
ただ必要な視点と現物をまとめてあるだけ
許容範囲を超えないよう
ただ慎ましく 情けなく
不貞腐れて今を受け入れ
【気だるさ】
気怠さが四畳半の1Kの部屋で
夕暮れを見届けながら充満してる
街の掠れた笑い声
電柱と家の屋根に雀が往々
今日ももう終わる
何も無いけれど
昨日の後悔を活かさず
突然来る悲しみに怯えながら
何も変えずにいる
玄関の汚さがそのまま
自分の今の心模様示して
退屈な非日常を諦観
戸惑いはある
だけどそれ以上に下らない
気怠さが呼ぶ天までの道標
子供の頃のおもちゃも埃まみれ
趣味に興じたあの経験も
宝の持ち腐れ
絶え間なく来る明日に
目に見えない寂しさは顔を覆う
気怠さから抜け出せず
外は夜に変わる
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最後まで読んでくれてありがとう。
水宮 青