【詩のようなもの6編】　8月の鳴鳴

【8月の鳴鳴】

家の至る所から聞こえる
蝉時雨と雷鳴　

夏を支配するかのように
延々と　響き　轟き

なだらかに移り変わり
アスファルト揺れる暑さ
窓に差さる夕焼け

緩い風に木々は揺れて
退屈な胸騒ぎ　

憧れた詩人の恋に肖って
現代詩を点す夏の夜

家の至る所から聞こえる
風鈴の音と花火の音

【今一度】

筋肉のない細い腕で
崖に手を掛け登ろうとする
そんなイメージ持ちながら
会社のエレベーターへ

今一度聞き返す　
自分の生き方　向こうへの行き方
試行錯誤　陽と陰の交錯
求めて　手放して

今一度走り出す
帰結を秘めながら
風に煽られながら

熱気のない空っぽの場所で
傍に夢を抱えて笑われてる
いつもの自分を面白がりながら
新たなステージへ

今一度　等身大の自分を鑑みながら

【My life~最近の日常】

インスタントラーメン3分
手頃で手軽　待つ至福
掌サイズの自由

it's free

学生の頃読んだ短編3ページ
日によっては笑えたり泣けたり
一瞬で過ぎる　捲る喜び

little happiness

リリック書くこの時間
机に並べたラジオ　コーヒー　
欠かせないもの　並べたお気に入り

my essential

悠々自適とはいかないけど
案外ダンボールサイズくらいには
幸せになる要素で嵩張ってる
簡単な性格の僕がいる

数字には換えられない
My life

【間取り】

最後まで氷解することない
僕らの時間

無風を求めて
目先の刺激より恋しい思い出を

縋る場所　いつも同じ場所
あるだけマシの小さな幸福
大きな間取りは求めない

一般的な視点・論点より
自分の好きなものに囲まれた間取り
それが何より

あなたの人生に深く入り込むのは
もう少し大人になってからでいいや

もう少し今の間取りのままに

【取捨と痛み】

ずっとそのままの玄関マット
ふと変えたくなった時
それは喪失の始まり

捨てたら捨てた分だけ
大きな寂しさに風が来る

その後別の景色に魅入って
また必要な心が寄ってくる

繰り返すわ　見えないところで
カラフルな痛みの内訳
塵になって　また宝石になって
モノクロの花火が上がるまで

ゼロから始めるつもりで
空っぽな自分に筆を持たせて
一つ目の色探し

【Happy or happy？】

とりあえず今辛くなきゃ
幸せって言っていんじゃない？

だって辛かったら
今言葉なんて空虚でしょ？

心も体も痛くない瞬間
それは喪失を伴った幸せ

忌みを寄せる施しなんて
さっさとお別れしちゃえば
また始まりの風が強く吹く

間引かれたのは誰だろう
忘れたくないことを忍ばせて
今は幸せだと言い聞かせて
まだ探す幸福への皺集め

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最後まで読んでくれてありがとうございました。

水宮　青