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【詩のようなもの6編】0:00

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【0:00】

滅多に文句を言わない口から
溢れるように出るつぶやき

その態度に少し驚いて
思ってたこととは真逆が
そのつぶやきを切る
それがどうなることなのか
胃は理解していたかのように伸縮

抱えていたことが悪なのか
溜息の色は生臭く
目に付く性善説が笑えてくる
深夜0:00を迎えた前頭葉
限界迎えてオーバーロード

一時期の甘さが澱んで
賞費期限の日付も縮んでた
それに気づいていた互いの目の奥
馬鹿らしいと言わんばかりに情景も破綻

描いていない理想が現れて
明日の0:00には後悔の末路へ

【ブロック】

積み上げてきた分だけ知る
他人の顔

連鎖するように関係は枝分かれ
嫌いなカルチャーはブロック
それでいい それがいい
今はそれが通説

距離を空けるのが利口
角の立たない言い訳でブロック
流行り病も重ねてブロック

なんでもいい
一人がいい
そう積み上げてきたブロックの数
外が見渡せないくらい高く澱んだ壁

壊すことは簡単 でも壊したくない
目立たないことで知る平穏
なのに知った分だけ分からなくなる日常

明日は少しだけ

解除したり
崩したり
手を繋いで壁の向こうを覗き見る

【借りた言葉の行方】

所詮フィクション
何もない僕の中
迷子のまま大人になることが
ただ怖くて恐ろしくて
返せる目処もないのに
沢山の言葉を借りてしまった

繋がらないのも当たり前
脈も絡もないのに
借りた言葉をそのまま使って
机上の空論を泳いで溺れて
恥の上塗りもいいところ

テキストに展開された式神も
呆れてものも言わない

時間を止めたくても
言葉を発した分だけ進んで
沈黙という金は使いどころ無く
文明に呑まれていく

残った言葉の節々は
自分の知らないところで否応なく
形を変えて意味を変えて
借りた時とは別物になり
誰かの胸に止まる

借りた言葉の行方は
誰にもわからないまま
今日も何処かで上塗られていく

【低調】

ほんの少しの心配事
杞憂であってほしい一抹の不安
暫く続いてる低調は禍事の予感

地中深くで閉じ込められて
足掻いても抜け出せないイメージ

ゴールテープの場所が
走っても走っても見えないイメージ

閉塞感だけが背中に乗っかって
低調の僕が置いてかれる
その結果浮かび上がる僕の欠点

いつか観た映画の主人公の
冴えない姿がダブる

低調して目にみえる不吉は
さらに不吉な流行を渦巻く
止められない連鎖反応

泡だらけのバスタブに飛び込んで
そのまま消えてしまえたら...
何もかも放棄できたら...
疲労困憊の思考が見せるイメージ
僕が低調だからかな

優しい夢を ワクワクする予感を
なんとか欲しくて
布団3枚重ねて陽を浴びながら目を閉じる

【極端】

黎明期に宿る勢い
廃れていけば残るのはノスタルジー
後は極端な偏見と憶測
地に足つかないうつ伏せの姿

手の届かないところに祈り
手の届かないところから恨まれる
極端な歪曲は大きな反動

鬱傾向の自分に
正常だと言い聞かせ
行き場のない身体は癒しを求め
手と金を仰ぐ啓蒙を盲信

ざらっとした手触りは極端な連想を浮かべ
最後に繋がるのは意味のないその日暮らし

汚らしい気持ち
もう持ちたくないんだけど
甘く澱んだノスタルジーに依存
邁進 迷信 妄信 
他人には嘲笑われ行進

極端な言い分 価値観
まだ飲み込めず言い訳
ぐるぐる頭に巡る着地点
忘れられず黎明期へ腕を振る

【周り】

同級生は変わりなく
成長しながら変わってる

僕は変わりなく
退廃しながら変わらない

周りと比べてわかるのは
自分がはみ出し者ってこと
不良になったつもりはないのに
気づけばガラクタ

自覚なく勝敗はついていて
目にみえるようにすれば
全敗しているから包帯巻いて
自分の部屋へ

飾れば思い出すトラウマの写真
だけど捨てられないから埃被るまで
部屋の隅へ

好きなものより
嫌いなものが増えたここ数年の歩み
つまらないことしか言えなくて
支離滅裂の自己啓発

かさ増しした経験則じゃ
確かな振る舞いは宿らなくて
次に繋がらない失敗だけが
着実に増えていく

周りは自分の形に色まで付けて
笑いながら歩いてる

僕が付けてるのは錆色の傷で
無表情の顔を下に向いてる

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最後まで読んでくれてありがとう。

水宮 青

前回の詩のようなもの↓

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